Coyote

日本精機宝石工業(JICO)とは

不便なロケーションによって生み出された独自の技術力

本社/工場は、大阪・神戸といった都市部から約200km離れた日本海に面した町にあります。インフラ整備が進みつつある現在でも、主要都市へは3~4時間を要します。

創業当時は、峠をいくつも越えてやっと辿り着けるという不便さで、特に積雪のある冬場は、行き来さえ困難でした。

しかし先人達はこの不便さをバネに、生産設備・治工具などの全てを自社で設計・製造・修理するという、独立独歩の精神へと昇華させました。

この考えは脈々と受け継がれ、独自性とは何かを常に自問しながら今日に至りました。

『細部にまで心配りが行き届いた、「おもてなし」の様なモノづくり』

―これが、我々の目指す made in Japanです。



明治6年 技術のはじまりは ”縫い針”  –

現在は製造していませんが、”縫い針” が当社の技術のはじまりです。和服用􏰁縫い針を京都という一大消費地に卸す針工場として明治6年 (1873年) に創業しました。

その後、時間の糸がたどった製品開発の道程は、思いがけず色々な製品を生み出しました。
そして、これからも新しく紡ぎ続けてまいります。

– レコード針事業 –

アメリカでエジソンにより蓄音機が発明されたのが1877年。その後 1909年には日本国産の蓄音機の製造が開始されました。そのような中で当社は縫い針製造の技術を応用し、1949年に蓄音機用鋼鉄針の製造・販売を開始。地域の他の針工場と協力し、世界40ヶ国に輸出をしました。

やがてモノラルの蓄音機はステレオに変わり、わたしたちは1966年にレコード針の生産を開始しました。

JICO(ジコー)という呼び名の出発点であるレコード針は現在でもおよそ2,000種類、約30のメーカーに対応するモデルを製造しており、その全てを1本単位で一貫生産しております。1本のレコード針には最小で2個、最大で45個のパーツがあり、それらは職人と言えるほど熟練した社員が、一つずつ手仕事で組み上げていきます。その製造に必要な工具や治具、検査機器は全て自社で設計・製造し、多品種の品質維持には不可欠なものとなっています。

– その他の事業 –

日本精機宝石工業(JICO)ではレコード針以外にも様々な製品を製造しています。
レコード針に比べると一般的に馴染みはないかもしれませんが、簡単にご紹介させていただきます。
どれも高度な技術を必要とする製品であり、縫い針製造で培った細やかな匠の技が脈々と受け継がれていることを感じていただけるかと思います。

①ゲージコンタクトの設計・製造を開始(1973年)
ゲージコンタクト(測定子)とは、自動車はじめ家電製品、パソコンなどの部品を生産する工場で使われており、研削加工で部品の寸法精度をチェックするために、加工物に接触しながら加工による寸法変位を加工機へ伝える役割をしています。耐摩耗性を要求されるので、最も硬くて耐摩耗性のあるダイヤモンドや、性質が異なる数種類の人工ダイヤモンドを用途によって使いわけています。加工物の形状により、ゲージコンタクトもさまざまな形状を取る必要があり、それらの要求一つ一つにあわせて、ダイヤモンドとそれを支える台金部分をオーダーメイドで社内一貫生産しています。決してユーザーの目には触れませんが、精度のよい部品の製造に一役かっています。

②医療用具・歯科用ダイヤモンドバーを開発(1978年)
ダイヤモンドバーとは、歯医者さんで虫歯を削るあの医療器具です。10万rpm以上で回転しているあの音を聞くだけでゾッとする方もいらっしゃるのではないでしょうか。歯というのはエナメル質が表面にあり、モース硬度という主に鉱物の硬さを表す尺度でいうと10段階中7程度というかなり硬い物質です。歯を削ると神経が刺激されて痛みを感じてしまうため、苦痛の時間や程度をやわらげるため素早く削れるように最も硬いダイヤモンド(モース硬度10の最高値!)が歯を削っています。ダイヤモンドの粉末を、回転するステンレス軸の先に「めっき」の手法を応用して着けたものがダイヤモンドバーです。さらに人工ダイヤモンドには少ない、一粒一粒尖った形状を持つ天然ダイヤモンドを使うことで、切れ味にこだわって一貫生産しています。歯科用ダイヤモンドバーは生産を終了していますが、現在は工業用として削ると欠けやすく加工が難しい超硬、ガラス、セラミックなどの加工に最も威力を発揮しています。もちろん、当社の白磁製カートリッジ瀬戸彫/SETO-HORIの加工にも使われています。

③CDピックアップレンズクリーナーを開発(1990年)
レコードに替わって登場し、記録メディアを一変させたCD。このディスクには音がデジタル信号(ざっくり言えば0と1)で記録されていて、レーザー光をディスクに照射してその反射のパターンから記録信号を読み取っています。このレーザー光の照射と読み取りする部分にレーザー光を集光するレンズがついているのですがご存知ですか?見たことのない方は、ノートパソコンのドライブを引き出してみましょう。ディスク中心のちょっと外側に透明な丸いレンズがある部品が見えますよね。これがピックアップレンズです。このむき出しになったレンズがだんだんと空気中の埃や油分など曇ってきてしまい、レーザーによる信号の読み取りエラーが増え、ついには読み込みエラー量が復元できる限度を超えると、音とびやデータ読み込み不能となってしまいます。このエラーを防ぐために、レンズ表面の汚れをふき取るピックアップレンズクリーナーという製品がつくられました。ぱっと見たところでは普通のCDと同じですが、ディスクに極細繊維を植毛してあり、再生ボタンを押すとピックアップレンズの動きにあわせてブラシがレンズの表面をふき取るように設計してあります。ディスクの種類に応じて、CD、DVD、Blu-rayとそれぞれの規格、作動にあった製品を製造しています。

④ダイヤモンド・ドレッサの設計・製造を開始(1993年)
ダイヤモンド・ドレッサはゲージコンタクトと同じく部品を研削する工場で使われています。ゲージコンタクトとは違って直接加工に使われているのではなく、部品を削る砥石に対して使います。包丁の砥石でもそうですが、使っているとどんどん変形していきますよね。しかし変形した砥石で部品を削ると変形したままの形で部品ができあがってしまうため、砥石が変形した部分を元の形に整える必要が出てきます。この整えるために使うのがダイヤモンド・ドレッサという製品です。
例えば自動車の回転部分にはベアリングと呼ばれる部品が使われていますが、なめらかに高速回転させるため、砥石を使った加工で数μmの精度で部品がつくられています。このベアリングの精度で回転のなめらかさが決まりますが、その精度を加工で出すためには砥石にも精度が要求されます。この精度を保つためにダイヤモンドの先端で砥石を削り、いつもいい精度に保っておくのがダイヤモンド・ドレッサの役割です。この砥石の要求精度の違いにより、ダイヤモンドの形状も円錐や角錐などいろいろな形状に加工されて製品となります。

– おわりに –

「音の世界を守りたい」これがここ数年来、わたしたちの目標の一つとなっています。
この記事でお伝えした通り、当社のレコード針は1本1本 心を込めて手作業で作り上げており、その製法は今も昔も変わりません。
1本でもご注文がある限り、わたしたちはレコード針をつくり続けてまいります。