アナログレコードを愛する人々 第1回 Toma Campbell氏

2019-06-20


「アナログレコードを愛する人々」と題して、レコード愛好家の方々にインタビューを行っていきます。

 第1回は、東京赤坂にあるご自身の工房で、スピーカーをはじめとするオリジナルグッズを制作されている、Toma Campbell氏へのインタビューです。

―Tomaさんの音楽との関わり方を教えてください。

 朝は、アレクサでクラシックをかけています。午後になると、レコードを聴きますね。レコードをかけるときは、気持ちにスイッチが入る感じです。

主にどんなジャンルをお聴きになっていますか?

 気分によって、ジャズだったり、ロックだったり、ソウルだったりいろんなジャンルを聴きます。雨が降ると気分が沈みがちなので、元気を出すためにレコードをかけるんです。ジョージ・ベンソンのようなフュージョンですとか、オリビア・ニュートン=ジョンをかけると、雨の日でも気分が晴れてきますね。

Tomaさんはご経歴から映像の世界の方だと思っていましたが、なぜ今、スピーカーをはじめとする音の世界へ?

 もともと、音楽業界に行きたかったのですが、なかなか機会に恵まれませんでした。しかし、1980年代は映像関連の仕事が増えてきた時期で、その流れに乗りそちらの仕事に就くことができました。映像の仕事は、音と密接に関係しています。ナレーションを録音したり、映像にどんな音楽が合うのか選曲を考えたり。やはり、そういった工程が一番好きでしたね。

AkasakaBaseで販売しているスピーカーの一部。

スピーカー作りをなされるようになるきっかけはなんだったのですか?

 iPhoneを台に乗せ音を増幅するという商品を東急ハンズで見つけ、それを自分で作ってみたんです。バックロードホーン構造のスピーカーだったのですが、iPhoneでこれほど音が変わるのなら、本格的な物はもっと劇的な効果があるのではないかと考え、作ってみたのがきっかけですね。その後、オリジナルのスピーカーを作った方が面白いと考え、一合桝、一升桝を改造したスピーカーを作って、ブログに載せたり、雑誌の企画に応募して載せてもらったりしました。同じ年の夏、東京ビッグサイトで開催されたハンドメイドフェスに参加し、スピーカーを販売したところ、好評で売り切れてしまったんです。自分の作ったスピーカーで喜んでくれる人がいることを初めて認識し、広告業界を辞め、「Sound Goods Laboratory」を始めました。

今後はどういった活動を?

 今興味を持っているのは、照明です。ネオン管ですとか、視覚に訴えるような癒しのグッズを作っていきたいですね。それから、ものを作っている人たちとの交流を広げていきたいです。ジャンルの違いはあっても、何かを作る人たちとは話が合うんですよね。私はスピーカーですが、花瓶を作っていたり、Tシャツを作っていたり、いろんな方がいます。そういった方たちと、フリーマーケットのような感覚で、作品を売り買いする関係を作っていったら面白いと思います。

あなたにとってのアナログレコードとは何ですか?



Toma氏の工房。ここでスピーカーを製作されているそうだ。


インタビュー後記

 Toma Campbell氏のアトリエは、例えるなら秘密基地だ。氏の趣味である60~70年代アメリカングッズがあちこちに何気なく置かれているが、細やかで確かなセンスに裏打ちされた、快適な空間であった。あらゆるモノが昔からそこにあるかのような佇まいで置かれていたが、取材時はまだ入居3か月であったというから驚きだ。置かれているモノのひとつひとつからは、氏のそれらに対する深い愛情が感じられ、逆説的に言えば、「愛はモノにしか宿らない」という印象を強く抱いた。今後も進化し続けるToma氏のアトリエ。日を置かず、今度は夜に訪れてみたい。


Toma Campbell(トーマ・キャンベル)
アカサカベース サウンドグッズ研究所でプロダクトデザインを担当するアーティスト。「クリエイティブの本質とはモノづくりにある」という信念のもと、音響、照明、インテリア、音楽をはじめとするメディアアートの制作に取り組んでいる。作品を通じて世界中の人々を笑顔にするのが自分の夢。
テレビ、音楽、広告、WEB業界を経て、AkasakaBase Sound Goods Laboratory を東京赤坂にオープン。

2004年/
モノフォニカレコードから「ハミングキッチン」発売
2006年/
東京インタラクティブアドアワード入賞
2015年/
東京ビッグサイト「ハンドメイドフェス」にオリジナルスピーカーを出展
2019年/
東京赤坂にメディアアート工房『アカサカベース』オープン
AkasakaBase Sound Goods Laboratory
https://akasakabase.com/