アナログレコードを愛する人々第18回 イラストレーター小田原愛美 ディレクター村田周平

2021-09-25

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。
第18回は、JICOオリジナルTシャツのデザインを手がけていただいた小田原愛美さんと旦那さんの村田周平さんにインタビュー!

—周平さんのお仕事は?

(周平)映像ディレクターです。CMやミュージックビデオ、ショートフィルムを演出しています。

—代表作や転機になった作品はありますか?

(周平)毎年タイで行われているADFESTという広告祭で賞を獲ったショートフィルムです。当時は会社員でしたが、それをきっかけにフリーランスになりました。

—どういう会社にお勤めされていましたか?

(周平)当時は広告の制作会社でしたが、その前はTVの制作会社に勤めていました。

—映像の世界に入ろうと思ったのはいつですか?

(周平)昔から映画が好きで、高校生の時は映画に関われる仕事をしたいなという気持ちでした。特にドイツのヴィム・ヴェンダース監督(『さすらい』『パリ、テキサス』など)の作品がすごく好きです。
身近な人でさえ分かり合えないことがあるのに、映画を通して一緒に観ている他のお客さんたちと分かり合えている感じが不思議で映画特有のものだと思いました。
そういう気持ちから映像に関わる仕事がしたいなと思い、大学卒業後はTV制作の業界に入りました。

—CMではどんな業界を担当されていましたか?

(周平)食品や時計などの業界が多かったです。

—お仕事はスポットでの依頼が多いですか?

(周平)僕の場合は年間契約みたいものはないですね。そこまで大きな仕事はしていないですし、映像ディレクタ—も相当な人数がいるので一回一回のお仕事を大事にしています。

—お仕事は知人からの紹介から依頼されるのと過去の作品をみて依頼されるのでは、どちらの方が多いですか?

(周平)知り合いからの紹介が多いです。過去に一緒に仕事をした方から紹介されたりします。過去の作品をみて知らない方から依頼されると嬉しいですね。

—過去の作品をみた人からの依頼はプレッシャになったりしませんか?

(周平)確かにプレッシャーを感じることもありますが、最終的に自分ができることしかできないのであまり気負わないかもしれません。
会社員の時は自分が何を期待されているのかが手に取るように分かるようになっていて、逆にそれを窮屈に感じていました。全部自分自身でハ—ドルを決めて乗り越えていくスタイルの方が合っていると思いました。

—愛美さんの場合も知人からの紹介が多いですか?

(愛美)私の場合はすでに作品を知っていて私にお願いしたいということが多いですね。
(周平)すぐ近くに気軽に入れるフレンチのお店があって、今までそこの店員さんとは全然お話ししたことなかったのですが、お店の前を通った時にそこの店員さんから小田原にイラストレーターなんですねと声をかけてもらったことがありました。
(愛美)私のインスタを見てくれていて、今度新店舗をオープンするのでデザインをお願いしたいと依頼していただきました。

—愛美さんがデザインやイラストレに興味を持ちはじめたのはいつ頃ですか?

(愛美)小さい時から絵を描いていて、似顔絵を描いてその人が笑ってくれるのが楽しかったです。
絵の勉強とかはしていなくて、高校卒業後の予定も特に立てていませんでした。父の事務所には昔からよく遊びに行っていて、その近所にデザインの専門学校があったので入ってみようと思いグラフィックデザインとかの勉強をしていきました。
専門学校を卒業してからはフリーターでしたが、ある時友達から個展やってみたらと勧められて今の仕事に繋がっていきました。

※愛美さんのお父様はアーティストの小田原重秋さん(通称:シゲ・パチーノ)
https://www.instagram.com/shigepacino18/

—最初の個展はどこで開きましたか?

(愛美)渋谷のセンター街のTシャツ屋さんに作品を置けるような展示スペースがあってそこに出しました。

—その時はどんな作品を出しましたか?

(愛美)一面に男性器と棺桶の絵を書きました。テーマはせいしでした。作品数は多くなかったですが、壁一面に書いたのでインパクトはあったかなと思います。

—どれくらいの人が観に来られましたか?

(愛美)結構たくさん来てくれました。その個展をキッカケに少しずつ仕事の依頼がくるようになりました。
スケーターやファッション関係の友達が多くて、ブランドのデザインや雑誌の挿絵などをお願いされるようになっていきましたね。

—イラストレーターとして生活していくにはどれくらい時間がかかりましたか?

(愛美)はじめはアルバイトもしながらデザインの仕事をしていました。3年くらいでイラストレーターとしての仕事が忙しく安定してきたのでアルバイトをやめました。

—その時のアルバイトは何をしていましたか?

(愛美)5年くらいチェ—ンのハンバ—ガ—ショップでやっていました。ハンバーガー作りには自信があります。社内でハンバ—ガ—作りのコンテストがあって社員含め2年連続1位になりました。

—今でもご自身でハンバーガーを作ることはありますか?

(愛美)たまにありますね。
(周平)料理が上手っていうのもありますが、特に手際が良いなと思います。全然無駄な動きがなくて見ていてすごい気持ちが良いです。僕はあまり手際が良くないのでイライラされたりします笑

—そういう要領の良さは想像力があるからだと思います。イラストレーターとしてのお仕事でもなんとなく絵を頭の中でイメージしてから描きますか?

(愛美)イメージしてから描きますね。落書きをよくしていてそこからデザインに繋がることもあります。
今回のJICOのTシャツデザインは一瞬でイメージが浮かんで半日くらいで出来上がりました。JICOのロゴに似せた文字もファーストタッチで描いたものです。

—今回デザインを依頼するにあたって着る人のペルソナを細かく設定させてもらいましたが、イメージ通りの仕上がりでとても気に入っています。

(愛美)方向性が決められないと出来上がったものにお互いが納得できないこともあるのでそこは苦労します。

—今はどんなお仕事がありますか?

(愛美)来年の2月に大阪で個展を開きます。2階にギャラリーのある洋服屋さんでやらせてもらいます。広いフロアなので結構たくさん作品数を出さないと思っています。あとは今度父の個展があってそのプロデュースもしています。

—好きな音楽のジャンルはなんですか?

(愛美)いろいろ聴きますね、サイコビリーとかヒップホップやパンクも聴きます。

—以前一緒にカラオケに行った時は5回くらい同じ曲を歌ってましたよね笑

(愛美)岡村靖幸のイケナイコトカイですね。酔っ払っててあの時のことは全然覚えてないです笑

—レコ—ドはどこで買いますか?

(愛美)横浜とか町田で買っていました。レコードに嵌っていた時期はレコード屋さんによく通っていて、そこでのジャケ買いも多いですね。

—周平さんはどうですか?

(周平)60〜70年代のロックが好きですね。ビートルズとかストーンズ、ザ・バンド、ボブディランとか。あとは70年代終わりのニューヨークパンクも好きですね。音楽が好きになったのもニューヨークパンクが好きな友達がいて教えてもらったのがキッカケでした。
友達とはお互いに相手が知らないことをどれだけ仕入れてくるかみたいなことをしていましたね。今ほどネットで検索してすぐに情報が手に入ることはなかったので、ライナーノーツを読んで調べていたりしました。
僕はどちらかというと音楽に対しての許容範囲が広い方だと思うので教えてもらうことでいろいろな発見がありますね。

—コロナが落ち着いたらやりたいことはありますか?

(周平)ニューヨークにまた行きたいです。コロナ前ギリギリの2020年の2月に1週間ほど行きました。
僕の場合は旅行先の宿からほとんど動かず、その周りで毎日過ごす感じです。旅先での疲労の具合であったり小田原とは旅行の感覚が合うので一緒にいて楽ですね。
(愛美)私も旅行ならフィンランドとかの北欧、あとはタイに行きたいです。その国の空気を感じて溶け込んでいたいです。

あなたにとってのアナログレコードとは?

【プロフィール】

小田原愛美(おだわらあいみ)
東京都出身
Illustrator / I&ME Designer
シニカルで残酷、もしくは性的な光景を温かく人間らしいタッチでポップに描きとるアーティスト。イラストレーション、コラージュ、陶器など手法を問わず多数の作品を制作する。
■Instagram
https://www.instagram.com/aimiodawara/

村田周平(むらたしゅうへい)東京都出身
映像ディレクター。広告、ミュージックビデオ、短編映画など幅広い映像を演出する。
■Instagram
https://www.instagram.com/shuheymurata/