DJ向けエントリーモデルのレコード針「SKRATCH 101」発売開始

2025-07-07

この度、『C-REVO』ブランドからN44モデルのDJ向けレコード針「SKRATCH 101」を発売いたします。
2025年7月7日(月)からご注文の受付を開始いたします。
N44シリーズのエントリーモデルとして、より手頃な価格で2本セットの商品として提供いたします。
※当面の間、当ウェブサイトとFeel Records 京都はなれ店でのみ販売いたします。

「SKRATCH 101」
¥7,700(税込)
※レコード針2本セット

「N44 NUDE」や「N44 SD」に続く製品であり、ミキシングやスクラッチ、ビートジャグリングなどの技術をこれから習得しようとする初心者DJ向けに開発しました。

ルビーチップ採用

「SKRATCH 101」の大きな特徴は、ルビー製のチップです。
ルビーの硬度・耐久性は、まだ繊細なタッチが身についていない初心者DJに向いており、強めのDJプレイにも耐えることで、レコードや音質への影響を最小限に抑えることができます。

さらに、通常のアナログレコード再生に加えてDVSにも対応しており、幅広い環境で確実なトラッキング性能を発揮します。
バック・スピンやスクラッチといった動きの激しい技でも安定して音溝をトレースし、レコードの保護はもちろん、タッチの感覚をつかむためのフィードバックも得られます。

J44・M44カートリッジ対応

JICOのMMカートリッジ「J44A 7」「J44D」「J50」「IMPACT」「Clipper」はもちろんのこと、
SHUREのMMカートリッジ「M44-7」「M44G」にも対応しております。

「SKRATCH 101」は上位モデルである「N44 NUDE」や「N44 SD」の設計をしっかりと受け継いでおり、確かな品質を保っています。
初心者向けでありながら、技術面でもクリエイティブ面でも、確かな成長を支えるために作りました。

未来のために

JICOは「SKRATCH 101」を『未来のDJを育てるために欠かせない商品』として位置付けています。
DJを始めたばかりの方に、高品質なパフォーマンスをより親しみやすい価格で提供することで、誰もがアナログDJの世界を楽しむことができればと願っております。

【SKRATCH 101】¥7,700(税込)

〜SKRATCH 101 回想録〜

first bar

2年前、2023年4月にNAMM Show参加のため渡米し際に、カリフォルニア・ロサンゼルスにあるDJスクール “BeatJunkies” にも訪問しました。

ある日の午後スクールでスタッフの方々と打ち合わせをしていた際に『レッスンを見学したい』と申し出たところ、その日の20時から夜間の部があると聞き見学しました。
その日の生徒数は約10〜15名ぐらいだったと記憶しています。昼間に仕事をされてから、夜間の部でレッスンを受けられている方が多く、講師の指導の元、全体練習や個別指導もあり、レッスンの最後には1人ずつ前に出て練習の成果を披露するなど、充実したプログラムで構成されており、真剣に取り組まれる姿がとても印象的でした。
そして、生徒のみなさんに『今夜は、日本からJICOの社長が来てくれた』と紹介していただき、『いつもサポートしてくれてありがとう』と生徒のみなさんが柔かな表情で感謝の気持ちを伝えくれて少し胸が熱くなったのを今でも覚えています。

スクールのスタッフの方から『スクールの授業料は決して安くはないのです。中にはローンを組んで学びに来る人もいます』という話を聞いて、それだけ真剣にDJの技術を習得しようとする姿に感銘を受けました。
この時期JICOは高額なNUDEチップ(天然無垢ダイヤモンド)を主力とした商品展開をしており、4年前の価格より3〜4倍になっていました。(N44シリーズは¥4,000代から¥13,000代に)

『値段の高い商品だけではダメだ。これはなんとかしなければ……』

second bar

帰国して直ぐにチップを探し始めました。見つかったとしても、品質や音、耐久試験など、沢山の項目をクリアしなければ商品化に至りません。
焦る気持ちを抑えながらも、出来るだけ多くの人、多くの人脈を駆使して日本のみならず世界中へ触手を伸ばしてみました。

半年ほどが経ち、SDチップ(人工無垢ダイヤモンド)を製造しているメーカーとコンタクトを取ることができ『JICOが求めるサイズのチップが製造出来ないか?』と尋ねたところ、φ0.3milなら量産実績があると回答がありました。

しかし、私が欲しいサイズはφ0.25milなので、5/100mil大きかったのです。
『φ0.3milでも良いのではないか?5/100milぐらいなら音に影響がないと考えて妥協しても良いのではないか?それだけ困っているのだから』
ものすごく葛藤しました。この5/100milの差に!

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結論は、どうしても妥協出来ませんでした。この5/100mil、つまりJICOは昔からφ0.25mil(0.05mil小さい)のダイヤサイズで作り続けています。
規格はそう簡単に変更するものではない、『規格=憲法』と捉えています。
変更する時には社内でじっくりと協議し、最後には役員会で承認を得なければならないと思っています。

チップメーカーに私の考え、想い、JICOブランドなどについて熱く熱く力説し、最後に『なんとかφ0.25milで検討して欲しい』と頭を下げました。
その想いが通じたのか、検討していただける事になり、サンプルが届き早速試験を始めました。それと同時に価格交渉に入りましたが、それはとても厳しいものでした。
チップメーカーは『φ0.25milサイズはJICOの為に特別に製造する事になる。コストが掛かるし、安定した量産までにどれほどの時間と労力を必要とするのか取り掛かってみないとわからない』とのことで、希望する価格での供給は受けられませんでした。
それでも以前の価格の2倍弱(N44シリーズは¥6,000代)で発売出来るので、SDチップ(人工無垢ダイヤモンド)での商品化を進める事にしました。

4th bar

その後、SDチップ(人工無垢ダイヤモンド)では『CUSTOM SHOP』ブランドだけではなく、BDチップ(接合ダイヤモンド)の入手が困難になり、販売を中止していた約2,200種類の一般的な交換針(REPLACEMENT STYLUS)にも展開し販売を再開しました。
この交換針(REPLACEMENT STYLUS)はメーカー標準希望小売価格を本来20%ほど引き上げないと採算が合わないのですが、2021年7月に販売を中止し再開するまでの約2年間、世界中のお客様から再開を期待される声、励ましのお言葉や沢山の叱咤激励をいただきました。カートリッジを処分せずに大切に持ち続けて待っていてくださるお客様への思いを込めて、2023年9月にメーカー標準希望小売価格を据え置いて販売を再開しました。

その頃、ある方から『ルビーチップが手に入ります』と連絡をいただきました。
ダイヤモンドのビッカース硬度は7,000Hv、ルビーは1,300Hvで、ダイヤモンドはルビーの約5倍以上の硬さ。モース硬度ではダイヤモンド10(10が1番硬い)に対してルビーは9(サファイアも同じ)と柔らかく、それだけに磨耗が早いのですが、レコード全盛期にはルビーチップを使った交換針もありました。
地球上で一番硬いダイヤモンドに比べてなので、一概に”柔らかい”という表現は適切ではないと思います。しかし、ルビーチップはダイヤモンドチップに比べて柔らかい分、”柔らかくて温かみのある音色”に聴こえるようです。

5th bar

ルビーチップの試験用のサンプルを受け取り、同時に価格の情報も入りシミュレーションをしたところ、以前の価格で販売出来る事を確認しました。
試験結果は、形状などはJICOの規格はクリアしましたが、耐久試験ではやはりダイヤモンドに劣るデータが出てきました。本社工場の私の机の直ぐ横に粗末なシステムを組んでおり、ルビーチップのサンプルでレコードを掛けながら仕事をして、数時間おきに技術部に針先の拡大写真撮ってもらい、耐久試験で出たデータになるのか実験してみました。
JICOの主力商品に劣らぬ音を奏でていましたが、ある日突然濁った音がしたので調べたところ、試験データよりは長時間持ちましたが、ルビーチップの先端が欠損していました。
それでもDJスクール “BeatJunkies” を訪問した時の事が忘れられず、そう簡単に諦められず悶々とした日々を過ごしていました。

ある日『スクラッチではいったいどうなるのか?』と思い、社内や海外のDJにも試験を依頼したりしていると、あっという間に年が明け2025年1月にNAMM Showに参加する為に渡米しました。

6th bar

NAMM Showでは本当に多くのDJやインフルエンサーに会い親睦を深めJICO製品について沢山のフィードバックを得ました。

そんな中、会場には多くのキッズDJも来ており、我々JICOのブースにも訪れてくれ『家では家族でJICOの針を使ってます』とか、あるお母さんが『うちの息子は11歳なんだけど、親が寝静まってから夜中起きて、こっそりとスクラッチしてるんですよ』など、この他にも本当に沢山の話を聞く事ができ、アメリカでのDJ文化の深さ、根強さを痛感し帰国の途につきました。
毎回、海外出張の帰国便で、新たに感じた事、思い付いた事など、ひとつひとつを丁寧に整理します。
その中で、2年前の “BeatJunkies” を訪問した時の自分の気持ちが忘れられずにいました。

the final bar

兄である代表(オーナー)にも相談に乗ってもらい、ルビーチップを使った製品を商品化する可能性を見い出しました。

これからDJになりたい人達、もっと技術を磨いて上手くなりたい人達などをなんとかサポートしたい気持ちでいっぱいです。
この「SKRATCH 101」はDJ専用モデルとして発売します(もちろん普通にレコードを楽しんでいただけけます)。
JICOのSDチップ(人工無垢ダイヤモンド)やNUDEチップ(天然無垢ダイヤモンド)を使用したDJモデルに比べてチップの耐久性は下がりますが、価格を抑える事が出来ました。

「SKRATCH 101」の101とは、アメリカの大学などに入学して1番初めに受ける授業を101というところから商品名に採用しました。
『JICOの針を使いたいけど値段が高過ぎて手が出ない』と2023年から2025年の今日まで、世界中の本当に沢山の方々からのお声をいただきました。
私は、そんな方々に声を大にしてお伝えしたい。

『お待たせしました!出来ましたよ!さあ、存分に楽しんで!!』

2025年7月7日
JICO 日本精機宝石工業株式会社
取締役社長 仲川幸宏

【製品仕様】

対応カートリッジ :J44A 7, J44D, J50, IMPACT, Clipper, M44-7(SHURE), M44G(SHURE)
チップ材質 :天然無垢ルビー
先端チップ形状 :丸針
チップ径 :φ0.3mm
カンチレバー :アルミニウム(JICO Type S)
再生周波数範囲 :20Hz-20kHz
出力電圧 :5.0mV-8.0mV
針圧 :3.5g-4.5g

【受注開始日】

2025年7月7日(月)10:00

【出荷予定時期】

2025年7月中旬以降順次

【製品に関するご注意】

掲載している製品画像と実際の製品の色目は、画質の関係により若干異なる場合があります。

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