Coyote

12月 2019

「レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています」アナログレコードを愛する人々 第12回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第12回は、IBS茨城放送 アナログレコードイベント「レコードカフェ」のディスクジョッキー・AYUさんにインタビュー! 『地元の人と人を繋げる喋り手になりたい』 ― 早速ですが、どういう経緯でラジオのディスクジョッキーになられたのですか?元々はレポーターやアシスタントでした。メインのアナウンサーではないんです。出身は茨城県です。喋る仕事に就きたくて、大学の合間に都内の某アナウンススクールの短期講習に通い、港区のケーブルテレビに入社後、フリーで地方のCATV局やラジオ局で喋ってました。その時、出来れば「地元の人と人を繋げる喋り手になりたい」と思ったのがきっかけかもしれません。3年くらい前にお声がけ頂き、今に至っております。 ― だから発音が明瞭だし、聞きやすいお声なんですね。そんな事ないんですよ。就職してからちょっとずつイントネーションを補正しました。 ― 茨城の方言を抜くのは難しかったですか?方言は抜けるんですが、ちょっとしたところのイントネーション(抑揚)のクセを正すのが大変でした。茨城弁って補正しにくい方言のひとつなんです。 『話せる最後の世代として、方言はなくしちゃいけないと思っています』 ― では逆にプロとして標準語のスキルを身につけられた今のAYUさんから見て、方言ってどう思われますか?無くしちゃいけないという気持ちが大きくなっています。実際今、茨城出身の作曲家マシコタツロウさんが、茨城弁だけのコーナーをされていて、凄い人気なんです。方言があることで地方色が出る事が評価されて、やっぱりそうだなと(確信しました)。恐らく私の世代が正しい茨城弁を喋れる最後(の世代)じゃないかなと思っています(笑) 『自分の価値観を含めて思いを伝えるのが仕事です』 ― 話は変わりますが、レポーターとディスクジョッキーって「喋り」においてどう違うんですか?レポーターは、あるものをあるままに視聴者の方に伝える仕事です。もちろんある程度の原稿はあります。それに対しディスクジョッキーは自分の価値感も含めて思いを伝える仕事です。進行台本は自分で作成しますが、詳細なものはありません。だから自分のパーソナリティーが試されるんです。 ― 本番にあたり喋るネタみたいなものは事前に準備されて臨むんですか?勿論です。私が担当しているイベントは、毎回生放送10分、録音番組30分(月2回)ですが、公開イベントとしては2時間ありますので。前半1時間がディスクジョッキーの選曲とトーク。後半がオーディエンスからのリクエストという構成です。 ― レコードでのリクエストってすぐに対応できるんですか?70,000枚ものアナログレコードがラジオ局自体にありますんで、ほぼできます。そもそもそのレコードの活用という趣旨でこのイベント(番組)が始まったんです。 『ラジオからの音楽が生活の中心です』 ― ではAYUさんのレコードコレクションについてお聞かせ下さい。始まりは小学校の2、3年生の頃です。どうしても自分専用のコンポが欲しくて買って貰ったんです。好きな時に好きな曲をかけて聞きたかったんですね。初めてのレコードは恐らくピンクレディーだったと思います。だけど中学生の頃にはレンタルレコード屋さんが出てきまして、LP1枚買うお金で何枚か借りられるんで、レコードを買う事が無くなりました。それから年月が経ち、「レコードカフェ」のディスクジョッキーを務めさせて頂くようになってから、新たに第二期が始まりました。 ― レポーターから3年前にディスクジョッキーをされるまでの間、ご家庭に入られていた時期はどんな風に音楽と関わっていらしたのでしょうか?ほぼラジオです。ラジオでかかってイイなと思った曲をCDで借りてくるとかしてました。 ― では現在はどうですか?今もラジオです(笑) ― ラジオのお仕事をなさっててラジオを聞くとなると、以前とは聞き方が変わりましたか?そんなに変わってないと思います。ラジオを聞く時は私は1リスナーです。あ、かかった曲でイイなと思ったものを自分の番組でもというのがあるから、ちょっと違ってるかもしれません。 『曲順を意識しています』 ― ご自分の番組での選曲はどういう所を意識されてるのですか?曲順ですね。その日のテーマにもよりますが、初めは盛り上がる曲で、次はクールな感じにして、脂っこいのを持ってきて、そのあとサラッとさせて、締めで盛り上げる、みたいな流れを作ります。 ― 選曲されたものは局に全部レコードがありますか?勿論無い曲もあります。だけどどうしてもその1曲をレコードでかけたくて、自分も聞いてみたいとなった時は、レコード屋に行きます。それがまた楽しいんですよ。これもレコード掘りが私の趣味の一つになった要因です。 『女性がレコードを趣味としていくのはハードル高いです』 ― レコード店に行かれてみて、どうですか?女性のお客様っていらっしゃいますか?ほとんどいらっしゃらないですね。最近は、ちょっと増えたかなとも思いますけど。 ― 何故だと思われますか、女性がレコード店から遠いのは?やっぱり忙しいんじゃないんでしょうか。音楽は聞いていますので、手軽に聞ける音楽でいいとしてるんじゃないでしょうか。アナログレコードを聞くというのは、特別感があります。女性はやはり優先順位がどうしてもファッションやコスメにいっちゃうのもあると思います。だけどアナログレコードって、全ての男性が好きなわけではありませんよね。だから(男性でも難しい人もいるので)その中で女性がレコードを趣味にしていくというのはハードルが高いです。 ― じゃあどうすればいいと思いますか、女性ファンを増やすには?それはまずは触れる機会を増やす事しかないと思います。目でも手でも。ハマるとハマるんです、女性は。実際レコードカフェの公開イベントにおいで下さる女性のお客様の中には、「こんなに楽しい事を見つけて良かった」と仰って下さる方がいます。だからスピーカーでレコードを聞くという事を経験して頂きたいんです。例えば素敵な洋服屋さんなどでかかってたりすると、お洒落な女の子たちは興味を持つと思うんです。 『レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています』 ― CDとレコードを1日の中でどんな風に聞き分けてらっしゃるのですか?CDは手っ取り早くあの曲を聞きたいって時ですね。例えばお料理をしてる時にどうしても聞きたくなる事があるんです。そんな時にパッとかけます。レコードは時間がある時にかけます。出来ればコーヒーやビールを飲みながら聞きたいですね。雑誌を読みながらとかも。何故だかそうなっちゃいますね。 ― この先、AYUさんとしてレコードに関して何か取組みとか、考えていられますか?女性と若い人たちにもっと聞いて欲しいと思っています。忙しい中でも手間を厭わずレコードを聞くという充実感というか、手間をかける間の無心の時間とかも味わって欲しいんです。簡単に音楽が取り入れられる今だからこそ、面倒くささを感じられるので、私はチャンスだと思っています。レコードを聞くのってコーヒーを飲んで過ごす時間とも似ていると感じています。手間をかけて、そこにたどり着く楽しさを知って欲しいし、しかもカッコいいと思うんですよね。 ― あなたにとってアナログレコードとは? https://youtu.be/t7tPUw74lWs 取材後記学生時代はロックバンドのドラマーでイカ天にも出た事があると仰るAYUさんは、とにかく発信したいオーラが強かったです。本コーナー初の女性で、取材チームも新鮮な気持ちで取り組め、示唆に富んだお話を伺えました。 AYU茨城県出身、東京在住IBS茨城放送 レコードカフェ(毎週土曜日13:00〜)ディスクジョッキー Twitter : レコカフェAYU @AYU80735257ブログ:レコカフェへGO! https://ameblo.jp/reco-cafe-smile-55/...

【重要】送料改定のご案内

いつもJICO WEB SHOPをご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。 お客様には大変心苦しいお願いとなり誠に恐縮ではございますが、このたび送料を変更させていただく事となりました。 これまでコスト削減などにより、送料当社負担を維持して参りましたが、これ以上の企業努力だけでは現状維持が困難な状況となり、誠に勝手ながら以下の通り、送料規定を変更させていただきます。 ご注文の合計金額(税別) 5,000円未満 5,000円以上 送料(税込) 400円 送料無料 ※代金引換手数料に関しましては引き続き当社負担とさせて頂きます。  ※実施日  2020年1月1日(水)ご注文分より 今回の変更でお客様のご負担が大きくなってしまいますことを心よりお詫び申し上げます。 今後も皆様にご愛顧頂けますよう、社員一同、サービス向上に一層尽力してまいりますので 何卒ご理解頂けますと幸いです。 ...

【年末年始休業のお知らせ】

いつもJICO WEB SHOPをご愛顧いただきまして、誠に有難うございます。 当社では2019年12月28日(土)〜 2020年1月5日(日)まで年末年始休暇期間とさせて頂きます。上記期間内はメール・電話等のカスタマーサポートはお受け出来かねますので、誠に申し訳ございませんがご理解の程何卒よろしくお願い致します。お問い合わせ等のご返信は、2020年1月6日(月)以降となります。 休業期間中に頂戴いたしましたご注文は1月6日(月)以降に順次出荷致しますが、本日現在既にご注文が混み合っておりますので、出荷までお時間を頂戴する可能性がございます。あらかじめご了承ください。 引き続き、JICO WEB SHOP をよろしくお願い致します。 ...

「何よりも一番中心にはレコードがあるんです」アナログレコードを愛する人々 第11回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第11回は、高円寺「EAD Record」店主にして、関連機材の開発をされている組嶽 陽三 氏です。 『EADという店名のダブルミーニング』 ― 早速ですが「EAD Record」のEADって何ですか?E(いい)A(アナログ)D(ディスク)の頭文字です。が、元々は違う意味でした。 ― 元々とはどういう事ですか?1993年に兄がここでアメリカの古着屋を始めたのがスタートです。その時は「EAD」は意味が違ってまして(笑)。兄には幼い頃から家出癖があったものですから。実はその「家出」から来てます。その後兄が帰郷して起業し、1997年に中古レコード店になりました。今年で22年目になります。 ― レコードの仕入れなんかはどうされているのですか?海外買付けも含めて色んなルートを駆使しています。でもここは場所が狭いんでね。(そんなに置けないんです)― ご自身もレコードがお好きで、ご自分のテイスト中心の品揃えでおやりになっているなら、趣味とご商売の境目というか、仕入時にこれは売りたくないなみたいな盤が入った時はどうするんですか?ノーコメントで(笑)。 『海外のお客様が7割です』 ― お客様としてはどんな方が多いでしょうか?海外の方です。七割はそうです。ここ二年は特に。今、空前のジャパニーズブームなんですよ、いろんな面で。音楽だけじゃなくファッションも。日本人はネット中心(にお買い上げ頂くの)でほとんど店舗に来られないですし。― 外国の方は(何か目当てのある)目的買いなのでしょうか?ですね。 ― それは転売目的の投機的な感じですか?それもあるかもしれませんが、日本のものは日本が全然安いんですよ、やっぱり。あと、日本の音楽がよく分からないから、何かお薦めは?って聞かれますね。―そう聞かれると、どうお答えになるんですか?今、シティポップって流行ってるんで、山下達郎、竹内まりや、大瀧詠一、大貫妙子とかですかね。あとユーミンやサザンも紹介しちゃいます。ここで実際聞かせてあげて、あとはご自分で自由に聞いて頂くんですが、3時間くらい聞いてらっしゃいますよ。外国人は100%カード払いなんですが、現金なら少しディスカウントすると持ちかければ、じゃあいくらになるの?って交渉に応じてくれますね。そして結構まとめ買いしてくれます(笑)。 ― この店内のメインスピーカーは手作りですか?はい、そうです。長岡鉄男氏(スピーカー設計)系です。ユニットが8cmのフルレンジです。長岡さんは10cmで20畳くらいは鳴らせると仰っているので、この店のキャパシティなら充分です。でもうちは元来ダンスミュージック系なので少し振動を残す感じで仕上げました。ターンテーブルはKENWOODの80年代のものです。これも長岡氏の推薦機種です。 『100年もつものを作る』 ―現在取り組まれているアナログオーディオ関連製品の企画開発はどういうきっかけで始められたんでしょうか?ダンスミュージックのメインカートリッジはShure社の44Gになると思うんですよ。みんなが一回は手にする。そこがきっかけというか、始まりかもしれないですね。その音をもっと改造できないかと思ったんです。このカートリッジカバー(筐体)の開発メンバーの一人は家具職人であり、実は友達のお父さんなんです。材料は仕入れて5年乾燥させて、日本の四季を覚えさせるんです。とにかく100年もつものを作るというのが彼のコンセプトの真髄で、その話を聞いた時にこの人と仕事をしたら楽しいだろうなと思いました。 ― じゃあ、その方と会ったのが先で木を使うというのが後ですか?実は44Gに木を載せるという、似たような製品が海外も含めてたくさんありました。僕もいろいろ試聴してみましたが、サウンド云々というよりルックス重視が多かったんです。どうせなら、見た目も音もよくならないかなと思った時に縁があり、その後僕が工房を訪ねました。彼はオーディオ製品として既にスピーカーを手掛けていました。材として合板の方が強度が出るしコストも抑えられるので、それを言うと、「合板だといつか接着面が剥がれて形が変わる。むく材なら100年経っても崩れない。使えば使うほど、どんどん良くなっていくものにしか興味がない」って答えたんです。それを聞いた時、この人しかいないとなりました。 ― 現時点ではこの木製カートリッジカバー(筐体)が材質別で4種類とその他には何を扱われているのでしょうか?開発の途上でPCOCC-Aというリード線を探していました。なかなか見つからなかった時に、ひょんなご縁でそれを扱われている人と知り合い、その方もチームに加わわり、これはいけるかなと思えたんです。現在、バランス重視とグルーブ感重視の二人の職人さんに支えて頂いてます。お蔭でうちのリード線はレコードの持っているパワー感がスッと出ると自負しています。― リード線の試聴会もなさっているとか?リード線は種類が豊富ですから。毎月1回ここで行なってます。5人も入れば満席ですが(笑)。今月は22歳の女性にもご参加頂きました。 『個性が出過ぎたり、存在感を感じさせてはダメなんです』 ― 今後の開発計画とかはお持ちですか?まだまだ行きます。これまでの44Gのもっと先の音が表現できると思っているんです。オリジナルの限界みたいなのを感じていた時期もありましたが、JICOさんの昨今の取り組みを見てまだ行けると思えたんです。何よりも一番中心にはレコードがあるんです。我々の製品は個性が出すぎたり、存在を感じさせたらダメなんです。どこまでもレコードのパフォーマンスを支える土台でないといけません。うちの職人さんに言わせると、我々は江戸前寿司屋さんみたいだそうです。彼らは生で食べてもおいしいネタに、ひと手間もふた手間もかけて、素材の良さを最大限に引き出す、そんなところが似ていると。― それでは、お薦めの一枚を教えて下さい。坂本龍一さんの「B-2 Unit」です。たまたま近くにあったのでこれを手にしましたが、坂本龍一さんの作品はどれが一番とかではなく、どれを聴いても常に刺激をもらえるのでとても好きです。― あなたにとってアナログレコードとは何ですか? https://youtu.be/LJH0k6Ia-cI 『インタビュー後記』店主の組嶽氏のお人柄なのか、とにかく居心地がよく、取材中ずっと気持ちの良い音を聞かせて頂きました。直ぐ近くの神社に集まる小鳥の囀りも程よくミックスされて、こだわりすぎない自然な空間が魅力でした。何事も「素直で、奇をてらわず、やり過ぎない」そんなスタンスが長続きの秘訣かもと勉強になりました。 組嶽陽三 (くみたけ・ようぞう)島根県出身1967年生まれ。渡米の際にレコードにハマる。帰国後長岡鉄男さんの自作スピーカーにもハマり22年間レコード屋として日々奮闘中。 EAD Record   http://www.eadrecord.com東京都杉並区高円寺南4-28-13 TEL&FAX:03-5306-6209営業時間:午後1時~午後9時 定休日:火曜日...