「レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています」アナログレコードを愛する人々 第12回

2019-12-26


アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。
第12回は、IBS茨城放送 アナログレコードイベント「レコードカフェ」のディスクジョッキー・AYUさんにインタビュー!


『地元の人と人を繋げる喋り手になりたい』

― 早速ですが、どういう経緯でラジオのディスクジョッキーになられたのですか?
元々はレポーターやアシスタントでした。メインのアナウンサーではないんです。出身は茨城県です。喋る仕事に就きたくて、大学の合間に都内の某アナウンススクールの短期講習に通い、港区のケーブルテレビに入社後、フリーで地方のCATV局やラジオ局で喋ってました。その時、出来れば「地元の人と人を繋げる喋り手になりたい」と思ったのがきっかけかもしれません。3年くらい前にお声がけ頂き、今に至っております。

― だから発音が明瞭だし、聞きやすいお声なんですね。
そんな事ないんですよ。就職してからちょっとずつイントネーションを補正しました。

― 茨城の方言を抜くのは難しかったですか?
方言は抜けるんですが、ちょっとしたところのイントネーション(抑揚)のクセを正すのが大変でした。茨城弁って補正しにくい方言のひとつなんです。


『話せる最後の世代として、方言はなくしちゃいけないと思っています』

― では逆にプロとして標準語のスキルを身につけられた今のAYUさんから見て、方言ってどう思われますか?
無くしちゃいけないという気持ちが大きくなっています。実際今、茨城出身の作曲家マシコタツロウさんが、茨城弁だけのコーナーをされていて、凄い人気なんです。方言があることで地方色が出る事が評価されて、やっぱりそうだなと(確信しました)。恐らく私の世代が正しい茨城弁を喋れる最後(の世代)じゃないかなと思っています(笑)



『自分の価値観を含めて思いを伝えるのが仕事です』

― 話は変わりますが、レポーターとディスクジョッキーって「喋り」においてどう違うんですか?
レポーターは、あるものをあるままに視聴者の方に伝える仕事です。もちろんある程度の原稿はあります。それに対しディスクジョッキーは自分の価値感も含めて思いを伝える仕事です。進行台本は自分で作成しますが、詳細なものはありません。だから自分のパーソナリティーが試されるんです。

― 本番にあたり喋るネタみたいなものは事前に準備されて臨むんですか?
勿論です。私が担当しているイベントは、毎回生放送10分、録音番組30分(月2回)ですが、公開イベントとしては2時間ありますので。前半1時間がディスクジョッキーの選曲とトーク。後半がオーディエンスからのリクエストという構成です。

― レコードでのリクエストってすぐに対応できるんですか?
70,000枚ものアナログレコードがラジオ局自体にありますんで、ほぼできます。そもそもそのレコードの活用という趣旨でこのイベント(番組)が始まったんです。



『ラジオからの音楽が生活の中心です』

― ではAYUさんのレコードコレクションについてお聞かせ下さい。
始まりは小学校の2、3年生の頃です。どうしても自分専用のコンポが欲しくて買って貰ったんです。好きな時に好きな曲をかけて聞きたかったんですね。初めてのレコードは恐らくピンクレディーだったと思います。だけど中学生の頃にはレンタルレコード屋さんが出てきまして、LP1枚買うお金で何枚か借りられるんで、レコードを買う事が無くなりました。それから年月が経ち、「レコードカフェ」のディスクジョッキーを務めさせて頂くようになってから、新たに第二期が始まりました。

― レポーターから3年前にディスクジョッキーをされるまでの間、ご家庭に入られていた時期はどんな風に音楽と関わっていらしたのでしょうか?
ほぼラジオです。ラジオでかかってイイなと思った曲をCDで借りてくるとかしてました。

― では現在はどうですか?
今もラジオです(笑)

― ラジオのお仕事をなさっててラジオを聞くとなると、以前とは聞き方が変わりましたか?
そんなに変わってないと思います。ラジオを聞く時は私は1リスナーです。あ、かかった曲でイイなと思ったものを自分の番組でもというのがあるから、ちょっと違ってるかもしれません。



『曲順を意識しています』

― ご自分の番組での選曲はどういう所を意識されてるのですか?
曲順ですね。その日のテーマにもよりますが、初めは盛り上がる曲で、次はクールな感じにして、脂っこいのを持ってきて、そのあとサラッとさせて、締めで盛り上げる、みたいな流れを作ります。

― 選曲されたものは局に全部レコードがありますか?
勿論無い曲もあります。だけどどうしてもその1曲をレコードでかけたくて、自分も聞いてみたいとなった時は、レコード屋に行きます。それがまた楽しいんですよ。これもレコード掘りが私の趣味の一つになった要因です。



『女性がレコードを趣味としていくのはハードル高いです』

― レコード店に行かれてみて、どうですか?女性のお客様っていらっしゃいますか?
ほとんどいらっしゃらないですね。最近は、ちょっと増えたかなとも思いますけど。

― 何故だと思われますか、女性がレコード店から遠いのは?
やっぱり忙しいんじゃないんでしょうか。音楽は聞いていますので、手軽に聞ける音楽でいいとしてるんじゃないでしょうか。アナログレコードを聞くというのは、特別感があります。女性はやはり優先順位がどうしてもファッションやコスメにいっちゃうのもあると思います。だけどアナログレコードって、全ての男性が好きなわけではありませんよね。だから(男性でも難しい人もいるので)その中で女性がレコードを趣味にしていくというのはハードルが高いです。

― じゃあどうすればいいと思いますか、女性ファンを増やすには?
それはまずは触れる機会を増やす事しかないと思います。目でも手でも。ハマるとハマるんです、女性は。実際レコードカフェの公開イベントにおいで下さる女性のお客様の中には、「こんなに楽しい事を見つけて良かった」と仰って下さる方がいます。だからスピーカーでレコードを聞くという事を経験して頂きたいんです。例えば素敵な洋服屋さんなどでかかってたりすると、お洒落な女の子たちは興味を持つと思うんです。



『レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています』

― CDとレコードを1日の中でどんな風に聞き分けてらっしゃるのですか?
CDは手っ取り早くあの曲を聞きたいって時ですね。例えばお料理をしてる時にどうしても聞きたくなる事があるんです。そんな時にパッとかけます。レコードは時間がある時にかけます。出来ればコーヒーやビールを飲みながら聞きたいですね。雑誌を読みながらとかも。何故だかそうなっちゃいますね。

― この先、AYUさんとしてレコードに関して何か取組みとか、考えていられますか?
女性と若い人たちにもっと聞いて欲しいと思っています。忙しい中でも手間を厭わずレコードを聞くという充実感というか、手間をかける間の無心の時間とかも味わって欲しいんです。簡単に音楽が取り入れられる今だからこそ、面倒くささを感じられるので、私はチャンスだと思っています。レコードを聞くのってコーヒーを飲んで過ごす時間とも似ていると感じています。手間をかけて、そこにたどり着く楽しさを知って欲しいし、しかもカッコいいと思うんですよね。


― あなたにとってアナログレコードとは?



取材後記
学生時代はロックバンドのドラマーでイカ天にも出た事があると仰るAYUさんは、とにかく発信したいオーラが強かったです。本コーナー初の女性で、取材チームも新鮮な気持ちで取り組め、示唆に富んだお話を伺えました。

AYU
茨城県出身、東京在住
IBS茨城放送 レコードカフェ(毎週土曜日13:00〜)ディスクジョッキー 
Twitter : レコカフェAYU @AYU80735257
ブログ:レコカフェへGO! https://ameblo.jp/reco-cafe-smile-55/