レコード針は何でできているの?
「音の入り口」であるレコード針。その針先は何でできているのでしょうか?
答えはダイヤモンド。サファイアで出来ている針もありますが、JICOではダイヤモンドを使用しています。
レコードが普及した当初は、竹で出来た針や蓄音機に使用されている鉄針などが主に使用されていたそうですが、ダイヤモンドの針が普及したのは、レコード盤の進化が背景にありました。
レコード盤は78回転から33回転まで進化し、長時間の再生が可能になりました。
それに伴い、長時間の再生にも耐えうる、ダイヤモンドでできたレコード針が主流となったのです。
レコード針の仕組み
レコード針を拡大し分解した図です。各部品の役割は以下の通り。
ダイヤモンドチップ:レコードの溝に触れて音の波形を読み取る
カンチレバー:ダイヤモンドチップの振動をマグネットに伝える
マグネット:カートリッジ内のマグネットに振動を伝える
ジョイント:カンチレバーとマグネットをつなげるパイプ
ダンパーゴム:マグネットを固定する振動の支点となる
スリブ:ノブに差し込む中空のパイプ
ノブ:カートリッジに差し込むためのプラスチック部品。カートリッジによって形状が異なる。JICOは約2,350種類のカートリッジに対応
さらに一部を拡大してみてみます。
ダンパーゴムもレコード針の型番によって色々な種類のものが使用されています。
JICOではこのダンパーゴムも自社工場で生産しています。
実は1本のレコード針には最小で2個、最大でなんと45個ものパーツが必要なんです。
JICOでは職人と呼べる熟練した社員が、ひとつずつ手仕事で組み上げています。
レコード針の動き
レコード針は左右に動くことでレコードの溝を正確に読み取っています。
その振動をカンチレバーがマグネットに伝え、マグネットはカートリッジ内部のマグネットに振動を伝えそれが電気信号に変わり、左右の音声として伝えます。
こうして、「音」が再生されるのです。
ダイヤモンドチップの種類
ダイヤモンドチップにも色々な形状があり、それぞれ違った音色が楽しめます。
聴くジャンルによっても針を変えてみると面白いかもしれません。
①丸針
一般的なレンジの音域を再生する汎用モデル。
標準的な円錐形状(先端部R0.7mil)を持つ針先です。
DJが使用する針などは大体この形状の針が使用されています。
一般的な寿命は約200時間です。
②ダエン針
高音域の伸びに特長を持たせたモデル。
丸針と比較すると横断面がダエン形をした針先で、高音域の伸びを良くする目的で作られています。
中低音ともに元気な音といった印象です。
一般的な寿命は約150時間です。
③Sダエン針
音溝への追従性をダエン針より高くしたモデル。
横断面をダエン針より更に“細長く”設計された針先で、ダエン針と比較してより忠実に記録信号を再生する目的で作られています。
Hyper Ellipticalとも呼ばれますがJICOではSダエン(スーパーダエン)と呼んでいます。
一般的な寿命は約400時間です。
④シバタ針
4chのサウンドとして再生できるモデル。
前後左右と4chサウンドとして再生することが出来る針です(レコード自体が4ch録音されたものに限ります)。
一般的な寿命は約400時間です。
⑤SAS(Super Analog Stylus)
JICO独自のレコード針であるSuper Analog Stylus Seriesは、レコードをカッティングするカッター針に近い形状のチップで、忠実にレコードの音溝をトレースします。
高音域と低音域の再現性に優れており、寿命も500時間と長くなっています。
SASについて詳しくはこちら
https://jico.online/2019/06/12/sas/
最後に
ここ数年来のアナログブームで、レコードを購入される方が爆発的に増えたと聞きます。
なんとなくレコードで聴いているけど、実はどんな仕組みで音が鳴っているのか知らなかった、という方も多いのではないでしょうか。
プレーヤーやスピーカーももちろん重要ですが、レコード針も意外と音には影響しているということが伝われば嬉しいです。