Coyote

3月 2020

「盤からの情報だけで十分なのでネット検索はしていません」アナログレコードを愛する人々 第15回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第15回は、高円寺にてレコード/CDショップ「円盤」の店主、田口史人さんにインタビュー! ―高円寺で円盤を始めてどれくらいになりますか? 17年経ちます。 ―どうして高円寺で始めようと思ったのですか? 完全に個人の自主制作のものを直接預かって売っているお店なんで、やるとしたら高円寺で、ここでダメだったらどこでやっていも成り立たないだろうなと思って始めました。私は神奈川にあったCDショップの本部にいたのですが、横浜で自主制作だけを取り扱うお店を会社としてやれないかと思って試算してみたんですが成り立たないなと思って個人で始めたんです。 ―どうしてインディーズに興味を持ったのですか? もともとあらゆる表(チャート)が好きで、それを現実と照らし合わせることが面白かったんです。小学生の時は相撲の番付けや歴史年表などを自分でまとめて冊子を作ったりしていました。中学生の時に音楽にもチャートがあることを知ってはまったんです。音楽の場合はビルボードを見ると世界各国のチャートが載っていたりして、たくさんの表があるのが楽しくて、それぞれを自分で表化していました。表は現実と照らし合わせないと意味が無いので、そのために音楽を聴き始めました。インディーズに興味があるというよりは、途中からインディーズチャートがあることに気付いたんです。インディーズ・チャートの曲はラジオで流れないので買いに行くしかありません。でも聴いてみたら、なぜこれが上位になっているのかが理解できませんでした。それを確認するためにライブハウスに行くようになり、現場を知ることでだんだん面白くなっていきました。昔のライブハウスはオーディションがあって、出演できる人が限られていたので、ライブハウスで演っている人を全員観てみたいと思ってライブに行きまくりました。そのうち、ここに出られない人たちはどんな音楽をやっているのかに興味を持つようになったんです。オリコンであれば200位まで載っていますけど、現実には201位のものもあるはずで、それを聴いてみたくなったんです。そうやって裾野までわかってくると、チャートが余計に面白くなるんです。売れるものがある以上、その末端のものもあるわけで、この店はその末端の先にあるものを預かることで今の形になりました。 ―預かる商品を査定する場合は何が決め手になりますか? 商品を預かる以上、その人とずっと付き合っていくことになるので、信頼関係がないと成り立ちません。その人と続けてやっていけるかを一番にみています。 ―商品の預かり期限はありますか? 期限は設けていません。在庫がなくなったらまた仕入れています。基本的に預かるものとはずっと付き合っていくつもりです。 ―委託する人は円盤だけに委託しているのでしょうか? そんなことはないでしょうね。あちこちに委託したり自分自身で売ったりしていると思いますよ。 ―その場合の値段は統一されていますか? 値段は統一しなくても良いと思っています。ここから出しているCDでもこことは違う値段になっている場合もあると思います。売りたい値段で売ってもらっていますが、ほとんどの場合どこも同じ値段で売っているんじゃないでしょうか。CDやレコードは再版商品になっているので、価格が統一されていますが、そうじゃなくても良いと思っています。 ―今まで扱ってきた中で最大のヒットはなんですか? ここの店で一番ヒットしたのは「ミドリ」というバンドですね。ソニーからデビューしたのですが、デビュー前はずっとここで販売していましたし、デビュー前のDVDもうちで作成しました。それが一番売れましたね。 ―これは売れるなっていうのはわかりましたか? 売れるかもしれないなとは思いましたが、売れるかどうかはあまり考えてないですね。 ―その人の人柄と作品に相関関係にはありますか? それは絶対にあります。その現れ方はいろいろですが関係ないことはないと思います。だから面白いですし、音楽そのものよりその関係性の方に興味があります。結果が音楽としてすごくつまらないものであったとしても、納得できるようなつまらなさだと面白いんです。 人柄と音楽の関係性がわかるのがライブで、もともと人柄を知っている人の音楽を聴くと面白いです。しかしそれが世の中にまで通用することはほとんどないと思います。 ここは対面で販売しているので制作者の人柄を紹介できますけど、それがないとわからないものも多いと思います。 あとは人柄と音楽の関係性だけではなく、それがデータではなく、<もの>になっているということも関係しています。人柄と<もの>の関係も面白いです。 ―ネットでも販売しているのですか? 販売していますが説明しないとわからないものばかりなので、有名になったもの以外はネットで売れることはあまりないですね。 ―レコードやCD以外の商品も委託された商品なのでしょうかか? 委託のものだけではないですね。レコードを買うためにリサイクルショップなどへよく行って、レコード以外のものもたくさん買うのですが、せっかくなんで違うものも置いてみようかなと思いました。CDやレコード以外では自作の楽器なんかも置いています。作っている人のテンションが高いのが伝わってきて面白いですね。今は音楽制作のハードルが低くなった反面、面白いものが生まれづらくなっていると思います。簡単にメジャーのようなものが作れてしまうので。メジャーの人たちは売れる音楽を作らなくてはいけませんけど、素人はそんな事を考えずに好きでやっているだけで良いのが強みです。売れたい気持ちを持ってやっていると絶対に生まれないものが生まれてくる可能性があるので、素人がやっているものを聴く面白さはそこですね。 ―万人に受け入れられるものを売るより、自分が面白いと思ったものを売るというスタンスですよね? そうですね。万人に受け入れられるものってそもそもないと思いますし、幅広く売りたいと言っている人も実は数の多い特定の人に向けてつくっていると思います。 ―我々もものづくりをしていますが、やはり買っていただいたものは大事にしてほしいですよね? 好きなアーティストがCDを出したら絶対に買うっていう買い方は僕は嫌いですね。それはそのCDがどんな内容であろうと買うからです。そのものの価値は問わずにただ単に買われるってことですから。 ―円盤にはどのようなお客さんがいらっしゃいますか? よく分からないです。店舗が二階で一見さんは入りにくいと思って、当初からインストアイベントをやっていました。イベントで一回来てしまえば来てもらえるようになるので。そのイベントの内容がバラバラで、その振り幅だけはよその店ではありえないものがあると思います。なので、客層もまるでわかりませんね。若者から老人まで来ますし。 ―どのようにイベントを告知していますか? 店頭とネット上のスケジュール表だけですが、イベントに出る人のお客さんがほとんどです。店の大きさ的にキャパは20人くらいなので大々的な告知はしていないです。 ―レコード寄席をはじめたきっかけは? ライブハウスで合間にDJを頼まれることがよくあったのですが、昔のラジオのディスクジョッキーのようにレコードをかけて話をするっていうのをやっていたのがもともとの始まりです。その時によく音楽以外のレコードをかけていました。学校の卒業記念のものとか。それらがなぜつくられたかなどの背景を話すことをたまにやっていました。そのうちに知人から、その話だけでイベントをやってみないかと言われて、実際にやってみたら結構評判が良くて、レコード寄席をやる機会が増えていきました。 ―各地でのイベントはオファーがあって行くのですか? そうですね。最初はオファーがあって、うまがあえば、そこから年に1回くらいの頻度で行くようになります。北海道から沖縄まで全国に行っています。 ―県民性はありますか? 県民性より、店主がどういうスタンスで店をやっているかで変わるんだと思います。一番最初は毎回基本編と称してレコードとはなんなのかの話をして、その反応をみてからいろいろ考えます。 ―プライベートではどういった形でレコードと関わっていますか? 家にいるときはずっとレコードをかけています。そうしないと全部聴ききれないので。 ―レコード寄席でかけるレコードはどうやって決めていますか? かけるレコードは自分で決めるというより、1つのジャンルの歴史の中で重要なレコードが絶対にあるので、それを順番に聴いている感じです。知らないレコードでも安いものだったら買い集めて、ひたすら分類していきます。分類していくうちに、あるジャンルのレコードが増えていって、その世界の歴史がみえてくることで、何が重要なものかがわかってきます。盤からの情報だけで十分なので、ネット検索はしていません。 ―音楽の配信やダウンロードについてはどう思いますか 興味ないですね。その聴き方をする人がいるのはわかるのですが、それが面白いことだとは思えないので。やはり<もの>じゃないと面白さが半減します。<もの>だと触感があったり劣化したりして楽しめることが多いです。劣化するということは、そこに歴史があり、持っていた人の人柄なんかが刻まれるのが良いことだと思いますし、それを見るのが面白いです。例えばリサイクルショップなどで「およげたいやきくん」のレコードがあったら、子供が持っていたものなので雑な扱いだったことがわかります。それが雑であればあるほど、その分聴かれたんだなと思えます。大事にされていなかったんじゃないかと思いがちですが、何回も聴かれたということだと思います。そういうレコードに何枚もあたっていると、そのレコードがどんな層に売れてどう扱われていたのかがなんとなくわかってきます。ネットが普及する前はみんな当たり前のように感じていたことですね。 ―今後は円盤をどうしていこうと思っていますか? ぼく自身は別の場所で新しいことをやるつもりです。都内では保管できないほどものが増え続けてきたので、大きな倉庫を持つために長野へ行きます。円盤は任せられる人に引き継ぎたいと思っています。ぼくがいなくなってもお店が続いてるいたら面白いなと思っています。 ―あなたにとってアナログレコードとは? https://youtu.be/lz5nQjM2fdw 【取材後記】高円寺ならではの雰囲気で一度訪れると癖になるお店でした。店主の田口さんのものへの愛情あふれるお話は大変興味深く、レコード寄席にも是非足を運びたいと思いました。ふと目にしたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのポータブルプレーヤーを買おうか最後まで悩みましたが諦めました。欲しい方はお店へお問い合わせを! 【プロフィール】田口 史人(たぐち ふみひと)高円寺「円盤」の店主。昭和のレコード世界を聞く会「レコード寄席」を毎月日本各地で行っている。著書に『レコードと暮らし』(夏葉社)、『日本のポータブル・レコード・プレイヤーCATALOG 奇想あふれる昭和の工業デザイン』(立東舎)、『二◯一二』(円盤)などがある。 ■円盤http://enban.web.fc2.com/ ■円盤 Twitterhttps://twitter.com/enban_rikurosha ...

JICOが聴けるステキなお店#5 海辺のcafe HOME

俳優・豊川悦司と綾野剛が出演し、軽自動車のCMで有名な通称「ベタ踏み坂」(江島大橋)を覚えておいでだろうか?そこから程近い場所に位置するHOMEは、金土日のみ、それも12:00~18:00だけ開店しているという、知る人ぞ知る超穴場cafeである。 お店までの経路がまず都会では味わえない自然いっぱいの環境。恐らくほとんどのお客様はフラッと立ち寄るのではなく、ここを目指して車で来店するだろう。「2年前位から毎週親子で通って頂いている方がいるんです。ギターを弾いたり、外で子供さんと遊んだりされています」と語る組嶽店長。居心地が良いせいか「どの方も2、3時間滞在されていく」というのにも頷ける。 https://youtu.be/RMQDn4VNzOI   23年前に東京からUターンした店長が、中海に面し、大山を遠望できるここの眺めに一目ぼれして8年前にオープン。以前ラーメン屋だった店舗を自分で改造されたそうだ。なかでもテラスにある大根島の島石(火山岩)で自作したピザ窯が目をひく。「特製のピザは土日だけです」通常はカレーとコーヒーのメニューになる。「コーヒーは炭火で手で自家焙煎しています」店長自作のカップで供されるコーヒーは遠赤外線効果で味がフワッとまろやかだそうだ。 忌野清志郎が好きで、当時彼が通っていたとされる東京・高円寺の「七つ森」というロック喫茶に勤めた経験が今に繋がっていると話す組嶽氏。「4年いましたが、結局、清志郎には会ったことがないんです(笑)」 システムは同じ島根県は奥出雲の長谷川氏に整備してもらったというラインナップ。メインアンプがdynacoの真空管タイプkt88、コントロールアンプがLuxmanのCL35 Ⅱ。スピーカーは励磁型で箱と真空管型の付属の電源アンプは自作だ。ターンテーブルはDENON DP-3000にShureの44Gを搭載したものと、1960年代西ドイツ製のELAC MIRACORD 10Hを交互に使用している。励磁スピーカーについて尋ねると「戦後のスピーカーは磁石を使用していますが、磁石というのは抵抗が大きいのです。このスピーカーは鉄に電流を流し磁石化するので抵抗が小さく、その為クリアな音が得られます。それまではALTEC社のものを使っていましたが、1年前に切り替えてからはこちらがメインです」クラッシックからジャズ、ロックとお客様の好みに合わせてジャンルを選ばない選曲である。 夏には屋外のテラス外で海をバックにライブも開催される。過去には曽我部恵一も出演。その時には300人も集まったという。「今をときめくofficial髭男dismも、まだインディーズの頃にここでライブをしました。その後半年してメジャーデビューしたんですよ」 「東京も地方も暮らしの中で音楽やレコードとの関りは変わらないと思います」と語る組嶽店長に、JICO品の印象をお聞きすると「世界中から注目されて素晴らしいと思います。Shure社の44モデルが無くなってどうしようと思ったんですが、しっかりした職人さんが1本づつ手作りされていて安心です」 https://www.youtube.com/watch?v=32f-1KbHImw 【海辺のcafe HOME】店名は「海の家」みたいなのんびりした雰囲気のcafeになればとつけたそうです。〒690-1405 島根県松江市八束町入江88  tel 0852-76-222912:00~18:00 金土日曜日のみ営業(ご来店前に必ずご確認下さい)https://www.facebook.com/%E6%B5%B7%E8%BE%BA%E3%81%AEcafe-HOME%E5%A4%A7%E6%A0%B9%E5%B3%B6-647441791998522/【お店からのお願い】1人で料理など作っていますので、忙しい時間帯やライブの時など対応出来ない事もあります。レコード試聴ご希望の方は前日までに予約をお願い致します。 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓ 日本精機宝石工業(株)東京支店メールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。 ...

ベイシーモデルができるまで #1

2018年12月。目黒であった日本オーディオ協会のパーティでご挨拶したのがきっかけでした。 そこから岩手県一関へ通う日々が始まりました。初めて訪れた日に。 当社の本社工場からの直線距離は696.61km。(Google Mapより引用) 冬の一関。雪には出会いませんでしたが、寒い……。 こちらは夏。しっかり暑かったです。 開発中の製品を含め様々なサンプルを試聴頂いた。指定席で試聴する菅原さん。 見せていただいた貴重なSHURE針(純正)の在庫品など この箱をモチーフにして復刻しました。特製木箱の詳細については次回ご報告します。 温かくも厳しいご意見を頂くも帰るときは、いつも満面の笑みで見送っていただくのでまた頑張る気になる日々でした。 最初はBASIEモデルを作らせて頂くことになろうとは思いもしませんでした。菅原さんの知る「本来の音」に近づけるのに必死でした。そのうち「これを欲しい人がきっと沢山いるだろう」ということになりました。(続く) ...

【JICO WEB SHOPご利用のみなさまへ重要なお知らせ】

いつも日本精機宝石工業(JICO)をご愛顧頂きまして誠にありがとうございます。この度、更なるサービス向上のため、ウェブショップをリニューアルいたしました。今回のリニューアルでは、これまでパソコン専用のホームページとなっておりましたが、時代を考慮しモバイルにも対応致しました。スマートフォンやタブレット等の端末からも見やすくなっております。リニューアルにあたり、トップページのアドレスも以下の通り変更となっております。 旧サイト:https://shop.jico.co.jp     新サイト:https://jico.online 今までのサイトとは異なりますので、旧サイトご利用のお客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、以下ご確認のうえ新たに「会員登録」をお願い致します。 ●旧サイトにて会員登録をされていたお客様の会員機能(ログインID、パスワード、お客様情報、お届け先情報等)がお使いいただけなくなりました。 ●会員の皆様には、誠にお手数をお掛けいたしますが、本ページ右上隅の人型アイコン『マイアカウント』からページ下部「登録」のフォーマットにメールアドレスとパスワードをご入力頂き、新たに会員登録いただきますようお願い申し上げます。 ※パスワードは簡易なものですと登録ができませんので、複雑なものを設定頂きますようお願い致します。 ●商品ページをお気に入りやブックマークにご登録いただいていた場合、URLが変更になっていますので、新たにご登録をお願いいたします。  これまでご利用いただいていたお客様と、新たにお客様になられるすべての皆様に快適にご利用いただけるサイト、サービスの向上に努力して参ります。 今後ともJICO WEB SHOPをご利用いただきますようお願い申し上げます。 ...