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「良し悪しではなく、それぞれの音の違いが面白いと思います」アナログレコードを愛する人々 第14回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第14回は、千葉にてカートリッジの修理販売を行っている浅川さんにインタビュー! ―元々は漫画の編集者をされていたという事ですが、担当されたつげ義春さんとの出会いはいつ頃ですか? つげさんが漫画描いていたのは87年までで、その頃僕は大学生でした。編集の仕事を始めたのも90年代に入ってからで、それまではつげさんの作品の一読者でしかなかったです。 ―『海辺の叙景』を読ませていただきました。哲学的で何を伝えたいのか裏読みしたくなるのですが、読み方として合っていますか? エンターテイメントはストーリーに「起承転結」がありますが、「起承転」で終わり結末を読者の想像力に委ねるつくり方を始めたのがつげさんでした。1950年代後半、大阪の若い作家たちがはじめた「劇画」というムーヴメントは、それまでの子供向けの空想漫画から離れ、日常的な題材を取り入れたリアルなものでした。それに影響を受けたつげさんは劇画的な傾向を取り入れ、表現を次のレベルへと押し上げたんですね。 ―浅川さんご自身は漫画を描こうとは思わなかったのですか? 描く気はなかったですね。最高のものは既にあるので、むしろ作品を生み出した作家の手伝いをした方が現実的ですから。  ―編集者として作品に口出しすることはありましたか? 僕がいたガロという漫画雑誌は、作家の白土三平さんが自分でお金を出して始めたものです。通常の出版社は作品に対して口を出したり規制したりします。規制に縛られたくなかった白土さんは、旧知の編集者と一緒にガロを始めました。そんな経緯でできた雑誌ですから、作家に口出しすることはありません。描きたいものを描いてもらいそれを掲載する。その代わり、単行本の印税はありますが、原稿料は出ません。描きたいものを描いた作品は芸術性が高くても、エンターテイメント性は高くないため雑誌としてはなかなか売れません。 ガロの版元である青林堂は97年にオーナーが変わりました。ガロにいた編集者が独立し立ち上げたのが青林工藝舎で、98年からアックスを刊行していますが僕はそこの編集部にいました。 会社を辞めてからも当時担当していた作家から原稿が今でも送られてくるので、作品を編集部に仲介したり、解説を書いたり単行本を編集したりという雑用は今でもやっています。 ―大好きな作家の作品を、世界で一番最初に読めるのは嬉しいことですよね。 そうですね。ただ大好きな作家でもダメ出しはします。いくら自由に描いて良いからといっても、作品が一定のレベルに達するためのコントロールはしています。 ―大学をご卒業されてからもずっと漫画編集者を? はい、ずっとです。カートリッジに携わる仕事を始めたきっかけもつげさんの作品『カメラを売る』の影響でした。『カメラを売る』は、貧乏なマンガ家が壊れた中古カメラを入手して、修理して売るという話です(笑)。そこからヒントを得て、もともと音楽が好きだったのでカートリッジ修理の仕事を始めました。 ―カートリッジ修理は依頼されて始めたのですか? 最初はビートルズのレコードの解説本『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ』(2012年)をきっかけにカートリッジにも手を出して、修理も始めました。レコードは盤によって音が違い、特にUK盤と日本盤は全然音が違うんです。音楽ライターの湯浅学さんは、僕が編集部にいた雑誌アックスでアルバムレビューの連載をしていました。僕がたまたま入手したビートルズのUKモノ盤の音の違いを湯浅さんに伝えたところ、湯浅さんも入手して、それ以降2人でビートルズのレコードを買い集めるようになったんです。 その後、他の国の盤はどうかと思い、バルバドスやジャマイカなど色々な国の盤を集めるようになりました。どの国も全部音が違ったので、だったらインド盤のシタールの音はどう聴こえるかと入手して、聴いてみたら実際かなり違って強調されているように聴こえた(笑)。冗談のような話ですがおもしろいので本にしようと。『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ』は買い集めた盤を2人で聴きながらだベった内容をそのまま収録した狂気の本です。 ―音の良し悪しや違いはどこを聴いて判断していますか? オーディオ的に良い音とは人それぞれだと思います。文化的背景によっても聴こえ方が違いますね。特に声の場合は言語によって強調されやすい周波数帯域があるので、お国柄によって音の好みも違います。特に驚いたのが、イギリスやアメリカ盤、フランス盤と国ごとにボーカルの質が全部違ったことですね。良し悪しではなく、それぞれの違いが面白いと思います。そういった違いを説明したのが先ほどの本です。 ―その本を出版された後、カートリッジの仕事を始めたのですか? しばらくは編集とオーディオどちらも両立していました。ただカートリッジを変えたりリード線をつくったりするなかでシステムの方もいじるようになっていって、オーディオの比重が増えましたね。最初は簡易的なシステムで聴いていましたが、本を書きながらだんだんと変化していきました。レコードによっては原盤製作時のミスで逆相でカッティングされているものもあって、スピーカーの正相、逆相を切り替 えるスイッチを自作して聴いたり徐々に狂ったことをし始めました。そして『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ』の上巻を出した後に会社を辞め、カートリッジ修理を6〜7年前からしています。 ―修理や改造はどのようにして行なっているのですか? カートリッジの歴史も長いので昔のものを直す人がいません。製造後何十年も経過した個体は音が鳴ったとしても聴けたものじゃない。そこで、今まで見たことのないものがあればまずは入手して分解して、内部構造を見ます。何個もやっているとどこを直せば ちゃんと音が出るようになるか分かってきます。ほとんどは振動系の劣化が原因ですから。 ―昔の技術はどんな風に見えますか? 最近のものより昔のものの方が面白いですね。初期につくり出されたものは音も違うし、分解してみるとつくった人の喜びを感じられる気がします。すごく工夫していて手作りっぽい感があり、同じモデルでも個体差や、製造時期による構造の違いも大きいです。 ―修理して元の状態に戻すことは難しいと思います。その中で浅川さんらしさを出せるものですか? 初期のカートリッジはとりあえず音は出ますが構造は原始的です。そこから改良されていき、後の技術で使い勝手が良くなっていきました。だから初期のモデルに後の技術を取り入れればもっとモダンな音になるはずなので、現在の素材を加えてみたりしています。ダンパーゴムなどはデッドストックのものやホームセンターで使えそうな素材を買ってきて自分でつくっています。そんなに難しくはないです。参考になればと直し方や改造方法は自分のFacebookで公開していますがなかなかやる人はいないみたいですね。 ―システム側の仕事を経て、当時の本の事やレコードの楽しみ方に変化はありますか? もし今同じようなものを作ったら、全然違ったものになると思います。『アナログ・ミステリー・ツアー』は、何もわからない素人の状態から作ったもので、今は当時と比べてアナログに関する知識も広がりましたから。逆に今作ったら専門的過ぎて誰も読まないかもしれません(笑)。ただ、盤それぞれの音が違うというのはシステムが変わっても同様に違います。 ―カートリッジの修理や改造の仕事は、今後さらに商売になっていくと思いますか? ならないこともないと思います。ただ、今は自分自身の興味の対象が昔のものを修理・改造するよりもより良い理想の音を求める方向になってしまっているので、ステレオ・カートリッジでいえば究極的には最高のものが一つ得られればいいわけです。そうなると、商売としては成り立ちません。お客さんに勧めるのも最高の一つだけになってしまいますから(笑)。モノラルの場合は「究極の一つ」はいまだに決められないんですけど。 ―思い切って外国の方が良いかもしれませんね。 たしかに外国の方がフォロワーがいますし反応が良いですね。 ―ものづくりへのリスペクトが日本人と外国人とでは違いますか? そうですね。外国人の方が先入観なしに実際のもので評価してくれます。改造は手作りなので商品としてはきれいではありませんが、固定客は2〜300人くらいいます。今は販売するとしてもその人達のみですね。 ―今後アナログは続いていくと思いますか? アナログはCDとは違う面白さがありますので、カートリッジやシステム含め良いものをつくれば続くと思います。現在出回っているカートリッジはほとんどがユニット自体は数十年前に設計されたものですよね。振動系の素材や形状が工夫されても本体には進歩がない。ということは昔の技術が若い世代に受け継がれ、改良されていくということがどこかで止まっているんじゃないでしょうか。新しいものが生まれないと、レコード針のようなものはある意味「骨董品の保守パーツ」的な存在としては残っていくでしょうが、それ以上の広がりは生まれないと思います。 ―浅川さんにとってアナログレコードとは何でしょうか。 https://youtu.be/y7QYZ6Wly78 【取材後記】漫画の編集や著書、現在の仕事のお話しを伺っているうちに、アナログレコードを含めエンターテイメントへの愛情がとても深い方なのだと感じました。私たちが見習わなければならないところもあり、ものづくりへの情熱を垣間見ることができました。いつも大音量でレコードをかけているそうなので、近隣住民から苦情が来ないか心配ではあります。 【プロフィール】浅川満寛(あさかわ みつひろ)劇画史研究家・編集・執筆・ヴィンテージオーディオ輸入・販売漫画の編集者を経て『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ』を2012年に出版後、ヴィンテージ・カートリッジの修理や販売を行っている Facebook国内 https://www.facebook.com/analogmysterytour/ 海外https://www.facebook.com/KabutaAudioLab/   ...

「レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています」アナログレコードを愛する人々 第12回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第12回は、IBS茨城放送 アナログレコードイベント「レコードカフェ」のディスクジョッキー・AYUさんにインタビュー! 『地元の人と人を繋げる喋り手になりたい』 ― 早速ですが、どういう経緯でラジオのディスクジョッキーになられたのですか?元々はレポーターやアシスタントでした。メインのアナウンサーではないんです。出身は茨城県です。喋る仕事に就きたくて、大学の合間に都内の某アナウンススクールの短期講習に通い、港区のケーブルテレビに入社後、フリーで地方のCATV局やラジオ局で喋ってました。その時、出来れば「地元の人と人を繋げる喋り手になりたい」と思ったのがきっかけかもしれません。3年くらい前にお声がけ頂き、今に至っております。 ― だから発音が明瞭だし、聞きやすいお声なんですね。そんな事ないんですよ。就職してからちょっとずつイントネーションを補正しました。 ― 茨城の方言を抜くのは難しかったですか?方言は抜けるんですが、ちょっとしたところのイントネーション(抑揚)のクセを正すのが大変でした。茨城弁って補正しにくい方言のひとつなんです。 『話せる最後の世代として、方言はなくしちゃいけないと思っています』 ― では逆にプロとして標準語のスキルを身につけられた今のAYUさんから見て、方言ってどう思われますか?無くしちゃいけないという気持ちが大きくなっています。実際今、茨城出身の作曲家マシコタツロウさんが、茨城弁だけのコーナーをされていて、凄い人気なんです。方言があることで地方色が出る事が評価されて、やっぱりそうだなと(確信しました)。恐らく私の世代が正しい茨城弁を喋れる最後(の世代)じゃないかなと思っています(笑) 『自分の価値観を含めて思いを伝えるのが仕事です』 ― 話は変わりますが、レポーターとディスクジョッキーって「喋り」においてどう違うんですか?レポーターは、あるものをあるままに視聴者の方に伝える仕事です。もちろんある程度の原稿はあります。それに対しディスクジョッキーは自分の価値感も含めて思いを伝える仕事です。進行台本は自分で作成しますが、詳細なものはありません。だから自分のパーソナリティーが試されるんです。 ― 本番にあたり喋るネタみたいなものは事前に準備されて臨むんですか?勿論です。私が担当しているイベントは、毎回生放送10分、録音番組30分(月2回)ですが、公開イベントとしては2時間ありますので。前半1時間がディスクジョッキーの選曲とトーク。後半がオーディエンスからのリクエストという構成です。 ― レコードでのリクエストってすぐに対応できるんですか?70,000枚ものアナログレコードがラジオ局自体にありますんで、ほぼできます。そもそもそのレコードの活用という趣旨でこのイベント(番組)が始まったんです。 『ラジオからの音楽が生活の中心です』 ― ではAYUさんのレコードコレクションについてお聞かせ下さい。始まりは小学校の2、3年生の頃です。どうしても自分専用のコンポが欲しくて買って貰ったんです。好きな時に好きな曲をかけて聞きたかったんですね。初めてのレコードは恐らくピンクレディーだったと思います。だけど中学生の頃にはレンタルレコード屋さんが出てきまして、LP1枚買うお金で何枚か借りられるんで、レコードを買う事が無くなりました。それから年月が経ち、「レコードカフェ」のディスクジョッキーを務めさせて頂くようになってから、新たに第二期が始まりました。 ― レポーターから3年前にディスクジョッキーをされるまでの間、ご家庭に入られていた時期はどんな風に音楽と関わっていらしたのでしょうか?ほぼラジオです。ラジオでかかってイイなと思った曲をCDで借りてくるとかしてました。 ― では現在はどうですか?今もラジオです(笑) ― ラジオのお仕事をなさっててラジオを聞くとなると、以前とは聞き方が変わりましたか?そんなに変わってないと思います。ラジオを聞く時は私は1リスナーです。あ、かかった曲でイイなと思ったものを自分の番組でもというのがあるから、ちょっと違ってるかもしれません。 『曲順を意識しています』 ― ご自分の番組での選曲はどういう所を意識されてるのですか?曲順ですね。その日のテーマにもよりますが、初めは盛り上がる曲で、次はクールな感じにして、脂っこいのを持ってきて、そのあとサラッとさせて、締めで盛り上げる、みたいな流れを作ります。 ― 選曲されたものは局に全部レコードがありますか?勿論無い曲もあります。だけどどうしてもその1曲をレコードでかけたくて、自分も聞いてみたいとなった時は、レコード屋に行きます。それがまた楽しいんですよ。これもレコード掘りが私の趣味の一つになった要因です。 『女性がレコードを趣味としていくのはハードル高いです』 ― レコード店に行かれてみて、どうですか?女性のお客様っていらっしゃいますか?ほとんどいらっしゃらないですね。最近は、ちょっと増えたかなとも思いますけど。 ― 何故だと思われますか、女性がレコード店から遠いのは?やっぱり忙しいんじゃないんでしょうか。音楽は聞いていますので、手軽に聞ける音楽でいいとしてるんじゃないでしょうか。アナログレコードを聞くというのは、特別感があります。女性はやはり優先順位がどうしてもファッションやコスメにいっちゃうのもあると思います。だけどアナログレコードって、全ての男性が好きなわけではありませんよね。だから(男性でも難しい人もいるので)その中で女性がレコードを趣味にしていくというのはハードルが高いです。 ― じゃあどうすればいいと思いますか、女性ファンを増やすには?それはまずは触れる機会を増やす事しかないと思います。目でも手でも。ハマるとハマるんです、女性は。実際レコードカフェの公開イベントにおいで下さる女性のお客様の中には、「こんなに楽しい事を見つけて良かった」と仰って下さる方がいます。だからスピーカーでレコードを聞くという事を経験して頂きたいんです。例えば素敵な洋服屋さんなどでかかってたりすると、お洒落な女の子たちは興味を持つと思うんです。 『レコードを聞くのってコーヒーを飲む時間と似ています』 ― CDとレコードを1日の中でどんな風に聞き分けてらっしゃるのですか?CDは手っ取り早くあの曲を聞きたいって時ですね。例えばお料理をしてる時にどうしても聞きたくなる事があるんです。そんな時にパッとかけます。レコードは時間がある時にかけます。出来ればコーヒーやビールを飲みながら聞きたいですね。雑誌を読みながらとかも。何故だかそうなっちゃいますね。 ― この先、AYUさんとしてレコードに関して何か取組みとか、考えていられますか?女性と若い人たちにもっと聞いて欲しいと思っています。忙しい中でも手間を厭わずレコードを聞くという充実感というか、手間をかける間の無心の時間とかも味わって欲しいんです。簡単に音楽が取り入れられる今だからこそ、面倒くささを感じられるので、私はチャンスだと思っています。レコードを聞くのってコーヒーを飲んで過ごす時間とも似ていると感じています。手間をかけて、そこにたどり着く楽しさを知って欲しいし、しかもカッコいいと思うんですよね。 ― あなたにとってアナログレコードとは? https://youtu.be/t7tPUw74lWs 取材後記学生時代はロックバンドのドラマーでイカ天にも出た事があると仰るAYUさんは、とにかく発信したいオーラが強かったです。本コーナー初の女性で、取材チームも新鮮な気持ちで取り組め、示唆に富んだお話を伺えました。 AYU茨城県出身、東京在住IBS茨城放送 レコードカフェ(毎週土曜日13:00〜)ディスクジョッキー Twitter : レコカフェAYU @AYU80735257ブログ:レコカフェへGO! https://ameblo.jp/reco-cafe-smile-55/...

「何よりも一番中心にはレコードがあるんです」アナログレコードを愛する人々 第11回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第11回は、高円寺「EAD Record」店主にして、関連機材の開発をされている組嶽 陽三 氏です。 『EADという店名のダブルミーニング』 ― 早速ですが「EAD Record」のEADって何ですか?E(いい)A(アナログ)D(ディスク)の頭文字です。が、元々は違う意味でした。 ― 元々とはどういう事ですか?1993年に兄がここでアメリカの古着屋を始めたのがスタートです。その時は「EAD」は意味が違ってまして(笑)。兄には幼い頃から家出癖があったものですから。実はその「家出」から来てます。その後兄が帰郷して起業し、1997年に中古レコード店になりました。今年で22年目になります。 ― レコードの仕入れなんかはどうされているのですか?海外買付けも含めて色んなルートを駆使しています。でもここは場所が狭いんでね。(そんなに置けないんです)― ご自身もレコードがお好きで、ご自分のテイスト中心の品揃えでおやりになっているなら、趣味とご商売の境目というか、仕入時にこれは売りたくないなみたいな盤が入った時はどうするんですか?ノーコメントで(笑)。 『海外のお客様が7割です』 ― お客様としてはどんな方が多いでしょうか?海外の方です。七割はそうです。ここ二年は特に。今、空前のジャパニーズブームなんですよ、いろんな面で。音楽だけじゃなくファッションも。日本人はネット中心(にお買い上げ頂くの)でほとんど店舗に来られないですし。― 外国の方は(何か目当てのある)目的買いなのでしょうか?ですね。 ― それは転売目的の投機的な感じですか?それもあるかもしれませんが、日本のものは日本が全然安いんですよ、やっぱり。あと、日本の音楽がよく分からないから、何かお薦めは?って聞かれますね。―そう聞かれると、どうお答えになるんですか?今、シティポップって流行ってるんで、山下達郎、竹内まりや、大瀧詠一、大貫妙子とかですかね。あとユーミンやサザンも紹介しちゃいます。ここで実際聞かせてあげて、あとはご自分で自由に聞いて頂くんですが、3時間くらい聞いてらっしゃいますよ。外国人は100%カード払いなんですが、現金なら少しディスカウントすると持ちかければ、じゃあいくらになるの?って交渉に応じてくれますね。そして結構まとめ買いしてくれます(笑)。 ― この店内のメインスピーカーは手作りですか?はい、そうです。長岡鉄男氏(スピーカー設計)系です。ユニットが8cmのフルレンジです。長岡さんは10cmで20畳くらいは鳴らせると仰っているので、この店のキャパシティなら充分です。でもうちは元来ダンスミュージック系なので少し振動を残す感じで仕上げました。ターンテーブルはKENWOODの80年代のものです。これも長岡氏の推薦機種です。 『100年もつものを作る』 ―現在取り組まれているアナログオーディオ関連製品の企画開発はどういうきっかけで始められたんでしょうか?ダンスミュージックのメインカートリッジはShure社の44Gになると思うんですよ。みんなが一回は手にする。そこがきっかけというか、始まりかもしれないですね。その音をもっと改造できないかと思ったんです。このカートリッジカバー(筐体)の開発メンバーの一人は家具職人であり、実は友達のお父さんなんです。材料は仕入れて5年乾燥させて、日本の四季を覚えさせるんです。とにかく100年もつものを作るというのが彼のコンセプトの真髄で、その話を聞いた時にこの人と仕事をしたら楽しいだろうなと思いました。 ― じゃあ、その方と会ったのが先で木を使うというのが後ですか?実は44Gに木を載せるという、似たような製品が海外も含めてたくさんありました。僕もいろいろ試聴してみましたが、サウンド云々というよりルックス重視が多かったんです。どうせなら、見た目も音もよくならないかなと思った時に縁があり、その後僕が工房を訪ねました。彼はオーディオ製品として既にスピーカーを手掛けていました。材として合板の方が強度が出るしコストも抑えられるので、それを言うと、「合板だといつか接着面が剥がれて形が変わる。むく材なら100年経っても崩れない。使えば使うほど、どんどん良くなっていくものにしか興味がない」って答えたんです。それを聞いた時、この人しかいないとなりました。 ― 現時点ではこの木製カートリッジカバー(筐体)が材質別で4種類とその他には何を扱われているのでしょうか?開発の途上でPCOCC-Aというリード線を探していました。なかなか見つからなかった時に、ひょんなご縁でそれを扱われている人と知り合い、その方もチームに加わわり、これはいけるかなと思えたんです。現在、バランス重視とグルーブ感重視の二人の職人さんに支えて頂いてます。お蔭でうちのリード線はレコードの持っているパワー感がスッと出ると自負しています。― リード線の試聴会もなさっているとか?リード線は種類が豊富ですから。毎月1回ここで行なってます。5人も入れば満席ですが(笑)。今月は22歳の女性にもご参加頂きました。 『個性が出過ぎたり、存在感を感じさせてはダメなんです』 ― 今後の開発計画とかはお持ちですか?まだまだ行きます。これまでの44Gのもっと先の音が表現できると思っているんです。オリジナルの限界みたいなのを感じていた時期もありましたが、JICOさんの昨今の取り組みを見てまだ行けると思えたんです。何よりも一番中心にはレコードがあるんです。我々の製品は個性が出すぎたり、存在を感じさせたらダメなんです。どこまでもレコードのパフォーマンスを支える土台でないといけません。うちの職人さんに言わせると、我々は江戸前寿司屋さんみたいだそうです。彼らは生で食べてもおいしいネタに、ひと手間もふた手間もかけて、素材の良さを最大限に引き出す、そんなところが似ていると。― それでは、お薦めの一枚を教えて下さい。坂本龍一さんの「B-2 Unit」です。たまたま近くにあったのでこれを手にしましたが、坂本龍一さんの作品はどれが一番とかではなく、どれを聴いても常に刺激をもらえるのでとても好きです。― あなたにとってアナログレコードとは何ですか? https://youtu.be/LJH0k6Ia-cI 『インタビュー後記』店主の組嶽氏のお人柄なのか、とにかく居心地がよく、取材中ずっと気持ちの良い音を聞かせて頂きました。直ぐ近くの神社に集まる小鳥の囀りも程よくミックスされて、こだわりすぎない自然な空間が魅力でした。何事も「素直で、奇をてらわず、やり過ぎない」そんなスタンスが長続きの秘訣かもと勉強になりました。 組嶽陽三 (くみたけ・ようぞう)島根県出身1967年生まれ。渡米の際にレコードにハマる。帰国後長岡鉄男さんの自作スピーカーにもハマり22年間レコード屋として日々奮闘中。 EAD Record   http://www.eadrecord.com東京都杉並区高円寺南4-28-13 TEL&FAX:03-5306-6209営業時間:午後1時~午後9時 定休日:火曜日...

JICOが聴けるステキなお店 #3 八王子「SHeLTeR」

新宿からJR中央線中央特快で35分。東京西部の中核都市・八王子。駅に降り立つと都心との温度差を感じるだけでなく、空気の違いが分かる。この日、駅前の夕景は老若男女で賑わっていた。西放射線道路と呼ばれる商店街を進むと、この街の住みやすさが実感できる。ラーメン屋、すし屋、洋食屋、全国規模のチェーン店。目的地までの腹ごしらえには事欠かない。 果たしてその「SHeLTeR」は、コンクリート打ちっぱなしのスタイリッシュなビルの地階に位置していた。オープンして30年。内装は当時とほぼ変わらないとの事。ただ音自体はシステムがすっかり変わり全く別物という。入口の大きな鉄の扉を押すとそこには音の極楽浄土が待っていた。 https://youtu.be/h_p8FbZXVGg システムはミキサーがBozak、スピーカーはJBLのProject Everest DD55000。アンプがAccuphaseでターンテーブルはTechnics SL-1200。開店1時間前には音出しを始め、営業時間中も調整を事欠かない。「そうしないと気持ちいい音はキープ出来ないんです」と気さくに語るのは代表の野嶌氏。カートリッジはShure社のN-44Gがメイン。「色々使ってみたけど、結局オールマイティなこれに落ち着きました」とも。 開店前といえフロアの床が綺麗なのには驚いた。都内から足を運ぶ常連さんは、音のみならず、この清潔な快適さに拠るところも大きいのではなかろうか。伺うと「アルコールやタバコのニコチンで汚れやすいので、こまめに拭いています」なるほど、それなら頷ける。 フロアには座り心地のいい椅子が配されている。SHeLTerは決してダンスミュージック一辺倒ではない。平日は30代から40代の音楽に詳しいお客さんが集い、リスニング中心になる事が多いとのこと。お薦めのドリンクは野嶌氏がお好きなラム。様々な種類が取り揃えてある。JICO製品の印象を伺うと「うちは以前からJICOの製品を使ってます。最近は攻めてるなぁという感じがしてます」 https://youtu.be/jq3Ru5PZX-8 DJ Bar「SHeLTeR」店名はみんなの「保養所」になればという野嶌氏の想いから付けられた。〒192-0071 東京都八王子市八日町1-1NKビルB1F  tel 042-625-3213 17:00~終電頃  日休http://www.at-shelter.com/ このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓ 日本精機宝石工業(株)東京支店メールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。 ...

「ライブの音が苦手なんです」アナログレコードを愛する人々 第10回

オーディオに携わる方、職人の方にインタビューする企画です。第10回は、鳥取の鐵工所 松田安鐵工代表の 松田 安弘 氏。「隣の部屋で誰かがかけた音楽を偶然耳にするのがいい」そうです。 『レコード芸術が大好き』 ―個人のお客様向けに鉄製品を作られていると伺いましたが?鳥取県のそれぞれの会社の特徴を活かしたモノづくりを、工業用じゃなく家庭用として発信しようという取組みがあり、県出身の著名な工業デザイナーが中心となって作ったものです。デザイナーさんの意図通りに製造するのが難しく、製品化に至らなかった企画もあったようです。弊社も鋳物にマットな感じの塗装をするのが難しくて苦労しましたが、努力の末、鋳物のインテリア雑貨を作りました。私としては鋳物製スピーカーキャビネットを作りたかったのですが、重量ひとつが150kgにもなり、周りの反対もあり、あきらめました。昔のアメリカの劇場にあった感じのスピーカーを作りたかったのです。鋳鉄は音響製品に非常に向いていることを知っていますのでね。昔は重たい金属でスピーカーを作るという時代があったんですが、今では木製が主流になりました。 ―JICOをご存知だとお伺いしましたが?知人から聞いていて素晴らしい、いい仕事をされている会社だと10年以上前から聞いていました。レコードが大好きなものですから最近レコードが復活していてとても嬉しいです。私は実音じゃなくてレコード音が好きなんです。 『隣の部屋から聴こえるレコード』 ―レコードの音がお好きとは?生演奏(ライブ)の音が苦手なんです。周囲は騒音、雑音だらけだし奏者がミスるしで体に悪い(笑)。レコード芸術というのが好きなんです。カセットテープも好きですね。トロッと甘みのある音でね。 ―アナログの音がお好きということですね。そうですね。CDだと情報を「聞いている」感じです。レコード芸術というのは精神性を「聴いている」気がします。だけどレコードをオーディオセットの前で聞くのは好きじゃないんです。部屋で鳴らしているのを隣の部屋で聴くというのが一番好きです。 全て松田安鐵工で製作された商品。左からセロハンテープカッター、お香立て、香炉 ―それは、どういうことですか?自分でかけているのじゃなく、誰かがかけているのが偶然聞こえてくる位の距離感が心地よいのです(笑) ―音楽への道を断念されて家業を継承されたと伺いましたが?いやいや、そんなに深刻なものではないんです。あるレコードを初めて聞いた時に「こんな神業があるんだな。(自分では)出来ないな」と思いました。中学生の時に出会った戦時中のフランスの音楽なんですけどね。本当にびっくりしました。音楽(で食べていくの)があまりにも険しい山だと実感しましたね。 ―どのようにびっくりされたのですか?戦時中の音なので音色ではないですよ。テクニックです。あまりにもテクニックが凄いのです。しかもジプシーのギタリストで火傷を負っていて左手が二本指なんですよ。それなのにリズムタイトで隙がない演奏なんです。元々は*渡辺貞夫先生を尊敬していまして、まだ現役でライブをされていて凄いと思います。小学生の時に鳥取市民会館でのコンサートへ行ってから尊敬してやみません。最近では、90歳になられる**北村英治さんがものすごい演奏をされるんですよ。今の北村英治さんはベニー・グッドマンよりいい演奏をされると思いますよ。本当に美しい音です。 ―ジャズを中心にお聴きになられているのですか?そうですね。でもやっぱり世代ってこともあり、ビートルズを聴いてしまいますね。一音でもビートルズだと判るような、なんとも言えないあの***リッケンバッカーのバカみたいに軽いギター音と男性コーラスとは思えないユニゾンのような、三人の声が混ざり合っていてね。録音技術が良いのかなぁ。当時はあの録音芸術が最先端だと思っていました。全くの生の演奏ではないですよね。録音してからイコライジングして出来上がった音なのでね。それが僕は録音芸術だと思っています。だから生演奏が苦手なんですよ。生演奏というのは演奏を聴いているということだから、演奏者の思いに付きあわざるをえないでしょう。やっぱりレコードを隣の部屋で聴くっていうのがいいね(笑)。 ―漏れ聞こえてくるのがいいのですね。そうです。ホントにそういう感じ。あとね、ラジオから聞こえてくる温かみっていうのも好きですね。リクエストしていないのに偶然好きな曲がかかるっていう幸運感がたまらなく好きです。それも隣の部屋から聞こえてくる感じね。 ―どうしても隣の部屋からなのですね(笑)。皆さんには理解されないんですよね。なんのこっちゃってね(笑)。 ―レコードに出会われた頃のお話をお聞かせください。僕らの世代はみんな音楽が好きなんですよ。小学生の頃の歌謡曲を聴いたりしている時のジャズフレーバーのする音楽。たとえば****伊東ゆかり、*****園まりの音楽を聴いて育ってきました。最終的に******ザ・ピーナッツに出会うんですね。世界にこれしかないというハーモニーを聞き、音楽に対して妙な感情が湧くものだと知ったのです。小学生ですから人生のなんたるかも知らないですよね。ただその音楽を聴くことで悲しみや喜びとを味わうことが出来ると子供ながらに感じたんです。それから音楽の楽しさを知りました。 たくさんの鋳型が積み上げられている鐵工所内。 『力みのない洒脱な感じ』 自分が生まれる前のものが大好きです。特に室町時代の頃。室町時代って趣味が渋いでしょ。現代の人間に比べたら大人ですよね。人間は後退していると思いますよ、特に美意識は。日本の芸術ってダビンチ的なアートじゃないですから、職人的なもので、自分を抑えた感じで良い風合いが出ていると思うのです。 ―悲哀というか侘び寂びな感じがお好きなのですか?そうです。侘び寂びですね。音楽に対してもそういう気持ちが有ったのかもしれません。ビートルズの曲の中でもジョン・レノンの力みのない洒脱な感じか好きです。彼はきっと鼻歌みたいにして作ったんじゃないかと思います。そうじゃないとあんな曲は作れないですよ。それに比べ、ポール・マッカートニーは力んで作ったに違いありません。あれだけ長い曲を作る人ですし、天才ですよね。ポールみたいにあんな長いメロディーを書ける人はいない。ワンフレーズ無駄なく隙なく綺麗なメロディーです。 『機械と音楽と自分と』 ―ここまでお伺いしていて、とても繊細でいらっしゃると感じたのですが、それがお仕事に通ずるのでしょうか?工作機械を使って削る作業は楽器演奏に近いと思っています。削る音なんかもそうですが、製品完成のゴールに向かって、いろんな方法や色んな道があります。どの道を選ぶかというのが「自分のテイスト」なんですよ。音楽も同じです。「機械VS自分、音楽VS自分」、似ていると思います。やはりレコード芸術っていうのは楽器演奏だと本当にそう思います。 電気炉で約1400℃まで熱した鉄を炉から出し、手酌で型に流し込む様子。 ―ところで、社名の「松田安」というのは?代々屋号のように松田安なんとかという名前を皆つけていました。私の倅にも松田安を付けたのですが、倅は自分に息子が出来ても付けないと言ってます(笑) ―ご創業はいつですか?曾祖父が創業し、今年で122年です。しかし曾祖父が早くに亡くなり、祖父は鍛冶屋へ丁稚奉公に行って一年ぐらいで覚えて跡を継いだ様です。 ―お気に入りの一枚を教えてください。ジャンゴ・ラインハルトの「Django Reinhardt」です。中学生の頃に聴いたこの演奏に、衝撃を受けました。 ―あなたにとって、アナログレコードとは? https://youtu.be/v1gHDwqHA9M ...

JICOが聴けるステキなお店 #2 神宮前「bonobo」

JR千駄ヶ谷駅を出ると、眼前に東京体育館がそびえ、否が応でもオリンピックへの昂揚感が掻き立てられる。いくつかの通りを渡れば閑静な住宅地に入る。折しも祭礼日であったか、祭姿の一行とすれ違った。東京と江戸が交差するそんな街角にbonoboは圧倒的な存在感でそこにある。隠れ家的なドアを押すと、この場所が特別でかつ多くの音楽通に愛される訳が分かる。 店主の成浩一氏曰く「いい音は人を感情的にするんです。日常のいろんな垣根を越えて、ここで仲良くなって頂きたいです。」低音を効かせた刺激だけの音楽ではなく、音楽で感動を与えたいとの意図でNYの有名クラブ「The Loft」での体験をもとに15年前に開店。 https://youtu.be/G4uGZ-eZht4 システムはスピーカーがアルテック604のユニットを使用した自作。ミキサーも真空管を10本搭載した日本に一台しかないもの。SHURE社のMMカートリッジを採用。「ここはいろんな人がDJとして来るので折れない44-7を使っています。」 3つのフロアからなるbonobo。2Fは和室仕様になっており「お座敷DJ」を楽しめる。不思議な居心地の良さが外国の方にも人気だそう。 おすすめの一杯は何杯でも飲めるという「ウォッカ・クランベリー」 JICO品についての印象を伺うと「N-44-7の入手で困ってる方に、純正との差異を全く感じない、互換性のある品と安心してお薦めできます」 普段ヘッドフォンで音楽を聞いている高校生の女の子に「あれ、ここ、何か音いいわネ。気持ちいいかも。」と言わせるくらいじゃないとダメだと言う成氏。「ガウディハウス」の様に進化し続けるbonoboで、極上の音に揺さぶられていたい。 https://youtu.be/F7ptE-4_CXg ミュージックBar「bonobo」店名は中央アフリカに生息するサルの種族の名前から。ボノボは知能が高く何より平和的なサルで有名。「バナナを1本与えるとチンパンジーは食べちゃいますが、ボノボは半分に割って仲間と分けるんですって。」〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-23-4   ☎ 03-6804-5542火~日 PM9:00~AM5:00 ランチ営業で関西うどんを供している。【http://bonobo.jp】 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。 ご応募はこちらから↓日本精機宝石工業(株)東京支店メールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。  ...

「リード線で本当に音は変わるのか?」アナログレコードを愛する人々 第9回

アナログレコードを聞くための機材を製作されている方にインタビューする企画です。第9回は、シェルリード専門工房 KS-Remasta 工房責任者 柄沢 伸吾 氏。シェルリードの製作に用いる「刃物の切れ味で音が変わる」そうです。 『輸入盤屋さんの匂いが心地よかった』 ―マライア・キャリーのレコードが沢山ありますね。 そうですね。ほとんどあると思います。 ―それに、ものすごい数のカートリッジを大切にケースに収納されてますね。 財産になりますかね。(笑) このケースは、もともとミニカー用なんです。色々とサイズがあるのですが、蓋を閉めても中でヘッドシェルが暴れないものが良いです。 ―レコードに興味を持たれたのは? 初めて買ったEPレコードは、山口百恵さんの「プレイバックパート2」です。小学生の時に買いました。LPは甲斐バンドの「甲斐バンドストーリー」。中学二年生ぐらいから洋楽を聴きはじめ、高校生になると輸入盤を買うようになりました。特に輸入盤屋さんの匂いが、なんとも言えなく心地よかったです。 あの匂いはなんて説明したらいいのか。輸入盤だから勝手に外国の匂いと思い込んでいたんだと思います。今でもするのかな、あの匂い。 『改めてレコードの音の良さにビックリ』 当時はレコードよりCDが高かったんです。たぶんCDの方が音がいいんだろうなと思いながらレコードを我慢して聴いていた時期もありました。30歳ぐらいの時に改めてCDとレコードでマライア・キャリーを聴き比べると、レコードの方が圧倒的に艶やかで、ダイナミックで、空間を満たす感じが見事でした。 ―シェルリード線を作ろうとされた経緯についてお聞かせください。 社会に出てカートリッジを買えるようになった頃、欲しいと思っていたカートリッジが製造中止になったんです。それをきっかけに「今買っておかなくてはなくなってしまう」と思いました。30個ぐらい買った時に「このカートリッジたちの音を素直に出してくれるリード線がほしい」となったんです。 リード線もお手頃の物が手に入らなくなり、「メーカー付属のリード線でちゃんと音が出ているのだろうか?」と疑問を抱きました。1,000円程度で市販されているものは、特徴的で明るい音でしたが「素の音じゃない」と感じていました。そのうち海外製で4,000円の物が発売されました。だいたいカートリッジを買うときはヘッドシェルまで買うじゃないですか、ヘッドシェルまでは買えてもリード線までなかなか買えなかったんです。発売されたその海外製のリード線で聴くとすごく上品できれいな音がしました。 やはりこういうので揃えたいと思ったのですが、30個あるカートリッジすべてを揃えるのは、ちょっと大変だなと思い、何度もハンダ付けを失敗しながら自作したのがきっかけです。 『ハッとする時とそうでもない時』 ―その当時は電気の知識やハンダ付けの技術をお持ちだったのですか? 全くといっていいほどありませんでした。だから最初は上手くいきませんでした。そんな時にスピーカー自作のサークルでスピーカーターミナルのところをハンダ付けしている工程を見たんです。オーディオ中古店で手際よくハンダ付けをしているのも見ました。とにかく、真似をするしかないと続けていると少し形になったんです。その頃シェルリード線についてアドバイスしてくれる方に出会いました。その方との出会いによって、今の基礎を築くことができました。 少しずつお客さんにも知られるようになりました。オーディオ誌にも取り上げられ、とても良い評価を頂きました。それで屋号を「KS-Remasta」として立ち上げました。高評価を得た製品はヴィンテージワイヤーを使用した製品でした。ヴィンテージワイヤーをハンダ付けするとき、エナメルを刃物で剥がす工程があります。素材を厳選していたことはもちろんですが、この工程を丁寧に行っていたことが、高音質に結びついていたんだと思います。 ―丁寧っていうのは、どの位の差なんですか? 良く切れる刃物でエナメルを念入りに少しずつ剥がすということです。別に丁寧にしなくてもハンダもつくし、音も出るのですが、仕上がりが気に入らなかったのです。でも今思えば丁寧に行っていたからこそ僕のリード線は音が良いと評判になったんだと思います。ある時、その刃物をデザインナイフから医療用メスに変えてみました。最高級のリード線というのは、とても細く、髪の毛ぐらいしか太さがないんです。このモデルのリード線は糸で被覆してあり、その上のエナメルを剥がすのですが、医療用メスに変えると、とても音が良くなったとユーザー様から言われたんです。 なんで良くなったのか、その時は自分でもよく分かりませんでした。別のコーチからある時「ハッとするぐらい良い時と、そうでもない時がある」と言われました。その時は、フラッグシップモデル・Legendを完成させたかったのでバラツキがあってはならないと思っていたんです。そして「刃物の切れ味で音に変化が生じる」と閃きました。 『安来鋼、安来白一鋼にたどり着く』 調べてみると、錆びる鋼、「*安来鋼」の刃物が切れ味に優れていることがわかりました。その中でも日本刀に使われる玉鋼に一番近いとされる「安来白一鋼」にたどり着きました。これを探すのが大変だったんですが、ネットオークションで刃物のカテゴリーではなく骨董品で売ってるのを見つけたんです(笑) 『ハンダがのるスピードが速い』 この白一のメスに変えてからハンダののるスピードが格段に上がりました。良いハンダ付ではハンダの「のりがいい」という表現を使いますがさらに先の感覚です。導体の表面をハンダが「ぴゃーっ」とストレスなくハイスピードに滑って行くんです。この感覚は導体の表面を鏡面加工を施したStageシリーズで覚えがありました。ここまで導体の鏡面加工精度を上げているのは、未だ耳にしたことがありませんので、他に経験された方はいないのではないでしょうか? 元々はエナメルを残しのないように剥ぐ目的でやっていたはずが、導体を(新品状態より)きれいに磨き上げていくという役割に変わっていったのです。その効果はピュアで澄み切った純度の高いサウンドとして現れました。さらに鋼の探求を続け現在は他の鋼(KS-Remasta No.4)を採用し、それを研ぐ砥石、工程も研鑽を続けています。余談ですが「鏡面加工精度をあげた導体**」って、手袋して触ってもドキッとするほど「しっとり」した感じなんです。 ―結局、レコードを聴いた時に、聴こえなかった音が聴こえるってことですか? もちろんそれもありますが間接音、雰囲気、気配といった言葉で表現しにくい微細な成分が豊富に浮き上がってきます。導体を研ぎ澄まし磨きあげていくというのは限りなく微小な信号を通過させるのに極めて有効な技術と確信しています。逆に言えば凸凹の導体では微小信号が迷子になって通過しにくいと推測します。私にとってアナログの最大の魅力は限りなく微細なことをどこまでも「無かったことにしない」ってことです。カートリッジがリード線の加工精度を上げると、どんどん良くなっていくんです。愛機(カートリッジ)は、それだけ音を拾っているということなんです。そして磨けば磨くほど、なんか面白い事になるんです。これからも「これ以上できない」ってものを作り続けたいです。 ―あなたにとってアナログレコードとは何ですか? https://youtu.be/IiKTHBWe60o * 雲伯国境地域「現・島根県/鳥取県境」における直接製鋼法で出来た鋼の総称。古来の正統的和鋼として、同地方の奥出雲町では年に数回の古来の「たたら吹き」製法により玉鋼がつくられ日本刀の原料として全国の刀匠に配布されている。 **KS-Remasta ではヴィンテージワイヤーを使ったVWSシリーズの他、導体の表面を手作業による鏡面加工を施したStage シリーズがラインナップされている。 VWSシリーズで導体の表面を刃物で磨き上げるのはハンダ付けするわずか2mm弱の部分。 インタビュー後記取材当日、バス停までわざわざ迎えに来ていただいたうえに、思いがけず"絶品牛すじカレー"をご馳走になりました。隠し味に牛骨テールを細かく砕いて入れているとか。きめ細やかなお心遣いと"ひとひねり"がそのままモノづくりに反映されており、手持ちのカートリッジに柄沢さんのリード線をつけて聴いたところ、上品な音に変わったと実感しました。 柄沢伸吾(からさわ・しんご)1966年12月生まれ東京都立小石川工業高校 電気科 卒業電気工事店 就職2012年1月に、シェルリード専門工房 KS-Remasta(ケーエス・リマスタ)を開業 シェルリード専門工房KS-Remasta ホームページhttp://www.ks-shell-lead.biz/シェルリード専門工房KS-Remasta ハイエンドシェルリード専門ネットショップhttps://ks-remasta.welf.biz/Twitterhttps://twitter.com/KsRemasta...

アナログレコードを愛する人々第8回 PLATANUS フォノカートリッジデザイナー 助廣 哲也 氏

第8回は、自身のオリジナルブランド「PLATANUS」でフォノカートリッジデザイナーをされている助廣哲也氏へのインタビューです。音楽を聴く際には「オーディオ機器を感じたくない」とのことです。 『父にもらったアナログプレーヤーで』 ―アナログレコードに興味を持たれたのはいつ頃でしょうか? 興味を持ったのは、、子供の頃はまだギリギリアナログレコードが普及している状況だったので、家に(レコードが)あったり姉が貸レコードを借りてきたりしていました。9つ上の姉がおりまして。小5ぐらいになって父にアナログプレーヤー一式をもらいまして、その頃からですね。 ―初めてご自身で買われたレコードは? 荒井由実の1stアルバムですね。フリマのようなところで買いました。 ―DJもされていたって本当ですか? 本当に昔、若い頃にやっていました。渋谷の宇田川にたくさんレコード屋さんがあった頃はよく友人とレコードを買いに行ったりしていました。 ―レコードをどれぐらいの頻度で聴かれていますか? うーん。3日に1度は製品の試験も兼ねて。 ―一回にどれくらい聴きますか? どれくらい聴いているんだろう。何時間も聴きますね。何個もまとめて試験するので。 ―仕事できくレコードとプライベートできくレコードでどのような違いがありますか? プライベートですと一日中聴いていますね。半分仕事の頭で聴いてるところもありますけどね。境目がないので。何かしながらは聴きません。ずっとスピーカーの前で聴いています。何かしながらの時間はレコードを聴く時間には入れていません。 ―聴くときは聴く!と決められているのですね。でも、疲れませんか? 疲れます(笑)。 ―プライベートで聴かれるレコードはどんなジャンルがありますか? なんでも聴くんですけれど…古いジャズも聴きますし…あまり新しいものはないので。POPSも聴きますし。クラシックもありますし、いろいろですね。製品開発の時はどんなジャンルも聴きますね。 ―製品開発試験で聴くのに必ず外せないジャンルなどはありますか? ジャンルというか、曲のこの部分がどういう風になって欲しい、みたいなのがあるので。そういうのの聴き分けがしやすいものを自然と聴いていますね。仕事では。 ―レコードは何枚ぐらいお持ちですか? ここ(自宅)には本当に少ししかないんですけど。何枚あるんだろう。実家にほとんどおいているので。数えたこともありません。万はないと思いますけど、千はあると思いますね。 ―レコードはどこで買うんですか? レコード屋さんですね。あとはハードオフとか。ネットでも買いますね。 『何が求められているのかを研究』 ―お仕事の内容についてお聞かせください。 フォノカートリッジやトーンアームの製造、設計が主です。 ―トーンアームの設計ってどこから考えるのでしょうか。例えば形から入るのか性能から入るのかどちらでしょうか。 性能の方ですかね。 ―カートリッジ開発は趣味で始められたんですか? カートリッジのパーツを製作する会社にいたので部品は作っていましたが、製品にまではしていませんでした。最終的にどういう使われ方をするのか知っておかないといけないなと思いまして、僕は勝手に色々設計したり実験したりしていました。言われたことをしているだけじゃトンチンカンなことをしてしまっても気づけないなと。何が求められるのか、部品の精度とかクオリティーとか。そういうのが気になりだしてそのあたりから自分で研究し始めましたね。 ―ご苦労話を教えてください。 苦労話は、、お金がかかる(笑)。部品が高いですね。数が出るものじゃないので、削り出しで作ったり。なので在庫がはけるまではドキドキですよね。個人ですから。 ―プラタナスファンの方もいらっしゃると思うのですが、助廣さんが出されたカートリッジなどは問答無用で全部買う、みたいな方もいらっしゃいますか? いらっしゃるのかどうか…(笑)。 工房の様子。細かい部分も綺麗に整頓されており助廣氏の人柄が窺える。 ―完全フルオーダーメイドを作って欲しいというような要望はあるのですか? そうですね。滅多にいないですけども。海外のお客様はそういう方いらっしゃいますね。 ―部品とかも一個から発注になりますよね。そうなるとお値段がすごいことになりませんか? そういう方は値段は気にしないみたいです。いくらかかってもいいから誰も持っていないものが欲しいという方はいらっしゃいますので。 ―今までで作られてきたカートリッジはいくつくらいあるのですか? プラタナスで出したカートリッジは2つしかないですけど。設計だけとか製造だけ担当したものを入れるとかなりありますね。 ―一年間でどれくらいの数のカートリッジを発売されるのか決めておられますか? 特に決めていないですね。自分の名前で出すものに関しては。あまり商売っ気がないと言われるんですが。 ―お仕事が重なって忙しいシーズンもあるんですか? 大変なシーズンはありますね。だいたいオーディオショウの前なんかは、部品がギリギリになったりするので。ミュンヘンのショウだったり、アメリカのショウだったり。 ―そういう時は寝ずにやったりもするんですか? それをやってしまうととクオリティーに問題が出る場合があるので寝ます、ちゃんと(笑)。普段から詰め込まないようにしているので、忙しいときにちょうど良くなるくらいにしないと、焦ってやって失敗すると、お金が…途端に…(笑)。 『オーディオ機器に存在を消してもらいたい』 ―ところでMCカートリッジのマーケットってどんな感じでしょうか。 アメリカが大きいとは聞いています。アジアは最近伸びていますね。(アジアは)レコードで音楽を聴くことも普及してなかったので、最近になって趣味のオーディオが出てきたときに、逆に今アナログが新しいメディアのような扱いを受けていると聞いたことがあります。 ―そうなると若い方の方が多いのでしょうか。 そうですね。お金を持っている若い方が多いので。 ―日本とは逆のような感じがしますね。 日本は40年くらい前のオーディオブームの頃に若かった人が、お年を召されて、ちょっとお金に余裕が出てきて、アナログ回帰現象が起きていますね。 ―カートリッジを設計されるときに、こんな特徴を持たせようというようなことを意識されて開発されるんですか? プラタナスに関していえば、僕の趣味を反映しているようなところがあります。オーディオ機器を楽しむというよりはオーディオ機器に存在を消してもらいたい願望があるので、そっちの方向ですかね。 前職の退職金がわりにもらったというトーンアーム。 ―オーディオ機器に存在を消してもらいたいとはどういう意味ですか? オーディオで音楽を聴いているな、というのが好きな方もいらっしゃると思うのですが、そうではなく、音楽と対峙したいのです。僕はあまりオーディオ機器を感じたくないのです。趣味、スタイルは様々あると思うんですが、僕は基本そうなんです。 ―開発製造のポリシーみたいなものはありますか? ありきたりなんですけど、ユーザー目線ですかね。最終的に買って使ってくださる方のことを一番考えています。その値段でこのクオリティで自分は買うか、と。安いものでも24万とかするわけで、、MacBookとか買えちゃうんですよ(笑)。MacBook買わないでレコード針に24万出すってのは、すごいことだと思うんですよ。そのクオリティがあるかどうかはいつも考えています。高そうにして高くすれば売れるから売るっていうことじゃないんですよ。 ―PLATANUSの名前の由来は? 元々の住まいの最寄駅がすずかけ台という名前だったんですよ。スズカケノキの木はプラタナスの木なんですね。独立した時に屋号を決めていなかったので、領収書を切る時に、助廣で、って言っても通じないんですよ(笑)。めんどうくさいなと思って、プラタナスにしとこうと思ってとりあえず決めたものがブランド名になりました。 『"もの"としての魅力』 ―今世界的にアナログブームがきていますが、この流れについてどう思われますか? うーん。そうですね。あんまりその影響を感じたことがないんですけど。データだけで音楽のやりとりができる時代になって、あえてアナログに注目が集まるというのは、"もの"としての魅力を感じているんだろうなと。データの入れ物としてみた場合には絶対デジタルの方が優秀なので、そこじゃないんだろうなと思っています。ジャケットもこんなデカイですし。手にできますからね。そういうところが注目されているのかなと思ってみています。 ―今後の流れはどのようになっていけば良いなと思っておられますか? アナログレコード自体は全くなくなることはないと思っているので、趣味のものとしてしぶとく残ってもらえたらいいなと。すでにそのようになっていると思うんですけど、より多くの人に楽しんでもらえるといいなと思っています。 ―最後に、あなたにとってのアナログレコードとは? https://youtu.be/nU1PGXKaZ6k インタビュー後記閑静な住宅街の一角にあるシンプルかつおしゃれなご自宅兼工房は、まるでアトリエのようでした。インタビュー後、PLATANUSのカートリッジで荒井由実さんの「ひこうき雲」を聴かせていただくと、「ユーミンはサ行が歪みやすいので検査用レコードにもってこいなんです」と、真剣な表情で聴く姿にオリジナルMCカートリッジへの情熱と、とことんユーザー目線に拘られる姿勢を感じました。 助廣哲也(すけひろ・てつや)1979年 東京生まれ。幼少の頃より機械の仕組みや音にまつわることに興味を持ち、楽器作りやフィールドレコーディングに夢中な少年時代を過ごす。中学在学時にバンド活動を始めると、関心の幅は音だけでなく音楽にまで広がる。高専で電気工学を学んだのち、2002年よりハイエンドオーディオ機器の受託製造会社に勤務。トーンアームやフォノカートリッジの設計製造に携わる。2012年に独立し、PLATANUSを設立。PLATANUS:http://platanus.tokyo...

名人の秘密治具(2)

前回に引き続き、Wood Carving Cantilever商品に使われる専用治具をご紹介します。 時計旋盤とよばれるこの機械は、その名の通り本来は時計の部品を作るための機械です。こちらを使ってWood Carving Cantilever商品の木製カンチレバーを加工しています。 もともとはレコード針のホルダーを加工する目的で購入したのですが、現在ではその作業専用の治具が作られていて、この時計旋盤の出番はそういった治具を作る時くらいとなっていました。   そこでWood Carving Cantilever商品の開発者がこの時計旋盤に手を加えて、木製カンチレバーの加工に使い勝手のいいように改良してしまったのです。 木材を削ってカンチレバーを作るのですから、とても細かい作業ということを想像してみてください。 Wood Carving Cantilever商品の発売まであと少しです。 お楽しみに。 ...

JICOが聴けるステキなお店 #1 神田 「Root Down」

神田とはどんな街のイメージをお持ちだろうか?東京をまだよく知らない頃、そこは古書店街であり、神田明神の門前であると勝手に思っていたが、さにあらず。オフィスと予備校があり、サラリーマンにやさしい居酒屋の街でもあった。 JR神田駅東口から徒歩約3分。神田「Root Down」は独特の風格を湛えてそこにあった。マスターの吉川徹氏曰く「折角のご来店、喜んで帰って頂きたいというのが基本にあります。自分がお客さんとして、居心地の良い空間を逆算して考えて作っています。」 https://youtu.be/Wg-EL8eJkxU その日の雰囲気で選曲するというレコードはジャズ、ブルース、ソウル、ラテンが中心。ジャズだけで5,000枚を優に超えるコレクションである。 2008年12月、神田駅に近いビルでオープン。そのビルの建て替えに伴い2018年10月、旧店舗のインテリアほぼそのままに現在地へ移転した。 アメリカのゴスペルシンガーSam Cooke「A Change Is Gonna Come」の1番の歌詞。 40代以上のひとり客が多いとのことだが、「レコードを見たことも聴いたこともない、普段デジタル音源をイヤフォンで聞いているような人に是非うちの音を体験して欲しい」と語る吉川氏。「この店のオープン時に初めて音を出した時、あぁ、こんな音がするんだと涙が出ました。」 おすすめは「神田ハイボール」と「Funky Ginger」 システムはターンテーブルがDENON DP-500M、真空管アンプは音のエジソン社製 MODEL2000MKⅡ。スピーカーも同社製のプロミネント。SHURE社のMMカートリッジを採用。「MMは荒っぽい感じがするビートの効いた音楽に向いていると思います。」 JICOのSASの印象を伺うと「以前、ネットオークションでSHURE V15 TypeⅢの中古の交換針を1万円ちょっとで買ったことがありますが、経年変化なのか、すぐに折れたんです。その頃お客さんからJICOの事を聞きました。うちは最初からSASです。今は4本くらいサブで持っています。私はオリジナルより良い音だと思います。」 https://youtu.be/7SIT91vxHTQ   Cafe & Bar「Root Down」店名は小学校五年生の時に初めて買ったJimmy Smithのレコードから。〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町30番地S-Grace101  tel 03-3252-498218:00~24:00   日・月休【http://www.rootdown.jp】 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓日本精機宝石工業(株)東京支店メールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。   ...