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「盤からの情報だけで十分なのでネット検索はしていません」アナログレコードを愛する人々 第15回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第15回は、高円寺にてレコード/CDショップ「円盤」の店主、田口史人さんにインタビュー! ―高円寺で円盤を始めてどれくらいになりますか? 17年経ちます。 ―どうして高円寺で始めようと思ったのですか? 完全に個人の自主制作のものを直接預かって売っているお店なんで、やるとしたら高円寺で、ここでダメだったらどこでやっていも成り立たないだろうなと思って始めました。私は神奈川にあったCDショップの本部にいたのですが、横浜で自主制作だけを取り扱うお店を会社としてやれないかと思って試算してみたんですが成り立たないなと思って個人で始めたんです。 ―どうしてインディーズに興味を持ったのですか? もともとあらゆる表(チャート)が好きで、それを現実と照らし合わせることが面白かったんです。小学生の時は相撲の番付けや歴史年表などを自分でまとめて冊子を作ったりしていました。中学生の時に音楽にもチャートがあることを知ってはまったんです。音楽の場合はビルボードを見ると世界各国のチャートが載っていたりして、たくさんの表があるのが楽しくて、それぞれを自分で表化していました。表は現実と照らし合わせないと意味が無いので、そのために音楽を聴き始めました。インディーズに興味があるというよりは、途中からインディーズチャートがあることに気付いたんです。インディーズ・チャートの曲はラジオで流れないので買いに行くしかありません。でも聴いてみたら、なぜこれが上位になっているのかが理解できませんでした。それを確認するためにライブハウスに行くようになり、現場を知ることでだんだん面白くなっていきました。昔のライブハウスはオーディションがあって、出演できる人が限られていたので、ライブハウスで演っている人を全員観てみたいと思ってライブに行きまくりました。そのうち、ここに出られない人たちはどんな音楽をやっているのかに興味を持つようになったんです。オリコンであれば200位まで載っていますけど、現実には201位のものもあるはずで、それを聴いてみたくなったんです。そうやって裾野までわかってくると、チャートが余計に面白くなるんです。売れるものがある以上、その末端のものもあるわけで、この店はその末端の先にあるものを預かることで今の形になりました。 ―預かる商品を査定する場合は何が決め手になりますか? 商品を預かる以上、その人とずっと付き合っていくことになるので、信頼関係がないと成り立ちません。その人と続けてやっていけるかを一番にみています。 ―商品の預かり期限はありますか? 期限は設けていません。在庫がなくなったらまた仕入れています。基本的に預かるものとはずっと付き合っていくつもりです。 ―委託する人は円盤だけに委託しているのでしょうか? そんなことはないでしょうね。あちこちに委託したり自分自身で売ったりしていると思いますよ。 ―その場合の値段は統一されていますか? 値段は統一しなくても良いと思っています。ここから出しているCDでもこことは違う値段になっている場合もあると思います。売りたい値段で売ってもらっていますが、ほとんどの場合どこも同じ値段で売っているんじゃないでしょうか。CDやレコードは再版商品になっているので、価格が統一されていますが、そうじゃなくても良いと思っています。 ―今まで扱ってきた中で最大のヒットはなんですか? ここの店で一番ヒットしたのは「ミドリ」というバンドですね。ソニーからデビューしたのですが、デビュー前はずっとここで販売していましたし、デビュー前のDVDもうちで作成しました。それが一番売れましたね。 ―これは売れるなっていうのはわかりましたか? 売れるかもしれないなとは思いましたが、売れるかどうかはあまり考えてないですね。 ―その人の人柄と作品に相関関係にはありますか? それは絶対にあります。その現れ方はいろいろですが関係ないことはないと思います。だから面白いですし、音楽そのものよりその関係性の方に興味があります。結果が音楽としてすごくつまらないものであったとしても、納得できるようなつまらなさだと面白いんです。 人柄と音楽の関係性がわかるのがライブで、もともと人柄を知っている人の音楽を聴くと面白いです。しかしそれが世の中にまで通用することはほとんどないと思います。 ここは対面で販売しているので制作者の人柄を紹介できますけど、それがないとわからないものも多いと思います。 あとは人柄と音楽の関係性だけではなく、それがデータではなく、<もの>になっているということも関係しています。人柄と<もの>の関係も面白いです。 ―ネットでも販売しているのですか? 販売していますが説明しないとわからないものばかりなので、有名になったもの以外はネットで売れることはあまりないですね。 ―レコードやCD以外の商品も委託された商品なのでしょうかか? 委託のものだけではないですね。レコードを買うためにリサイクルショップなどへよく行って、レコード以外のものもたくさん買うのですが、せっかくなんで違うものも置いてみようかなと思いました。CDやレコード以外では自作の楽器なんかも置いています。作っている人のテンションが高いのが伝わってきて面白いですね。今は音楽制作のハードルが低くなった反面、面白いものが生まれづらくなっていると思います。簡単にメジャーのようなものが作れてしまうので。メジャーの人たちは売れる音楽を作らなくてはいけませんけど、素人はそんな事を考えずに好きでやっているだけで良いのが強みです。売れたい気持ちを持ってやっていると絶対に生まれないものが生まれてくる可能性があるので、素人がやっているものを聴く面白さはそこですね。 ―万人に受け入れられるものを売るより、自分が面白いと思ったものを売るというスタンスですよね? そうですね。万人に受け入れられるものってそもそもないと思いますし、幅広く売りたいと言っている人も実は数の多い特定の人に向けてつくっていると思います。 ―我々もものづくりをしていますが、やはり買っていただいたものは大事にしてほしいですよね? 好きなアーティストがCDを出したら絶対に買うっていう買い方は僕は嫌いですね。それはそのCDがどんな内容であろうと買うからです。そのものの価値は問わずにただ単に買われるってことですから。 ―円盤にはどのようなお客さんがいらっしゃいますか? よく分からないです。店舗が二階で一見さんは入りにくいと思って、当初からインストアイベントをやっていました。イベントで一回来てしまえば来てもらえるようになるので。そのイベントの内容がバラバラで、その振り幅だけはよその店ではありえないものがあると思います。なので、客層もまるでわかりませんね。若者から老人まで来ますし。 ―どのようにイベントを告知していますか? 店頭とネット上のスケジュール表だけですが、イベントに出る人のお客さんがほとんどです。店の大きさ的にキャパは20人くらいなので大々的な告知はしていないです。 ―レコード寄席をはじめたきっかけは? ライブハウスで合間にDJを頼まれることがよくあったのですが、昔のラジオのディスクジョッキーのようにレコードをかけて話をするっていうのをやっていたのがもともとの始まりです。その時によく音楽以外のレコードをかけていました。学校の卒業記念のものとか。それらがなぜつくられたかなどの背景を話すことをたまにやっていました。そのうちに知人から、その話だけでイベントをやってみないかと言われて、実際にやってみたら結構評判が良くて、レコード寄席をやる機会が増えていきました。 ―各地でのイベントはオファーがあって行くのですか? そうですね。最初はオファーがあって、うまがあえば、そこから年に1回くらいの頻度で行くようになります。北海道から沖縄まで全国に行っています。 ―県民性はありますか? 県民性より、店主がどういうスタンスで店をやっているかで変わるんだと思います。一番最初は毎回基本編と称してレコードとはなんなのかの話をして、その反応をみてからいろいろ考えます。 ―プライベートではどういった形でレコードと関わっていますか? 家にいるときはずっとレコードをかけています。そうしないと全部聴ききれないので。 ―レコード寄席でかけるレコードはどうやって決めていますか? かけるレコードは自分で決めるというより、1つのジャンルの歴史の中で重要なレコードが絶対にあるので、それを順番に聴いている感じです。知らないレコードでも安いものだったら買い集めて、ひたすら分類していきます。分類していくうちに、あるジャンルのレコードが増えていって、その世界の歴史がみえてくることで、何が重要なものかがわかってきます。盤からの情報だけで十分なので、ネット検索はしていません。 ―音楽の配信やダウンロードについてはどう思いますか 興味ないですね。その聴き方をする人がいるのはわかるのですが、それが面白いことだとは思えないので。やはり<もの>じゃないと面白さが半減します。<もの>だと触感があったり劣化したりして楽しめることが多いです。劣化するということは、そこに歴史があり、持っていた人の人柄なんかが刻まれるのが良いことだと思いますし、それを見るのが面白いです。例えばリサイクルショップなどで「およげたいやきくん」のレコードがあったら、子供が持っていたものなので雑な扱いだったことがわかります。それが雑であればあるほど、その分聴かれたんだなと思えます。大事にされていなかったんじゃないかと思いがちですが、何回も聴かれたということだと思います。そういうレコードに何枚もあたっていると、そのレコードがどんな層に売れてどう扱われていたのかがなんとなくわかってきます。ネットが普及する前はみんな当たり前のように感じていたことですね。 ―今後は円盤をどうしていこうと思っていますか? ぼく自身は別の場所で新しいことをやるつもりです。都内では保管できないほどものが増え続けてきたので、大きな倉庫を持つために長野へ行きます。円盤は任せられる人に引き継ぎたいと思っています。ぼくがいなくなってもお店が続いてるいたら面白いなと思っています。 ―あなたにとってアナログレコードとは? https://youtu.be/lz5nQjM2fdw 【取材後記】高円寺ならではの雰囲気で一度訪れると癖になるお店でした。店主の田口さんのものへの愛情あふれるお話は大変興味深く、レコード寄席にも是非足を運びたいと思いました。ふと目にしたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのポータブルプレーヤーを買おうか最後まで悩みましたが諦めました。欲しい方はお店へお問い合わせを! 【プロフィール】田口 史人(たぐち ふみひと)高円寺「円盤」の店主。昭和のレコード世界を聞く会「レコード寄席」を毎月日本各地で行っている。著書に『レコードと暮らし』(夏葉社)、『日本のポータブル・レコード・プレイヤーCATALOG 奇想あふれる昭和の工業デザイン』(立東舎)、『二◯一二』(円盤)などがある。 ■円盤http://enban.web.fc2.com/ ■円盤 Twitterhttps://twitter.com/enban_rikurosha ...

JICOが聴けるステキなお店#5 海辺のcafe HOME

俳優・豊川悦司と綾野剛が出演し、軽自動車のCMで有名な通称「ベタ踏み坂」(江島大橋)を覚えておいでだろうか?そこから程近い場所に位置するHOMEは、金土日のみ、それも12:00~18:00だけ開店しているという、知る人ぞ知る超穴場cafeである。 お店までの経路がまず都会では味わえない自然いっぱいの環境。恐らくほとんどのお客様はフラッと立ち寄るのではなく、ここを目指して車で来店するだろう。「2年前位から毎週親子で通って頂いている方がいるんです。ギターを弾いたり、外で子供さんと遊んだりされています」と語る組嶽店長。居心地が良いせいか「どの方も2、3時間滞在されていく」というのにも頷ける。 https://youtu.be/RMQDn4VNzOI   23年前に東京からUターンした店長が、中海に面し、大山を遠望できるここの眺めに一目ぼれして8年前にオープン。以前ラーメン屋だった店舗を自分で改造されたそうだ。なかでもテラスにある大根島の島石(火山岩)で自作したピザ窯が目をひく。「特製のピザは土日だけです」通常はカレーとコーヒーのメニューになる。「コーヒーは炭火で手で自家焙煎しています」店長自作のカップで供されるコーヒーは遠赤外線効果で味がフワッとまろやかだそうだ。 忌野清志郎が好きで、当時彼が通っていたとされる東京・高円寺の「七つ森」というロック喫茶に勤めた経験が今に繋がっていると話す組嶽氏。「4年いましたが、結局、清志郎には会ったことがないんです(笑)」 システムは同じ島根県は奥出雲の長谷川氏に整備してもらったというラインナップ。メインアンプがdynacoの真空管タイプkt88、コントロールアンプがLuxmanのCL35 Ⅱ。スピーカーは励磁型で箱と真空管型の付属の電源アンプは自作だ。ターンテーブルはDENON DP-3000にShureの44Gを搭載したものと、1960年代西ドイツ製のELAC MIRACORD 10Hを交互に使用している。励磁スピーカーについて尋ねると「戦後のスピーカーは磁石を使用していますが、磁石というのは抵抗が大きいのです。このスピーカーは鉄に電流を流し磁石化するので抵抗が小さく、その為クリアな音が得られます。それまではALTEC社のものを使っていましたが、1年前に切り替えてからはこちらがメインです」クラッシックからジャズ、ロックとお客様の好みに合わせてジャンルを選ばない選曲である。 夏には屋外のテラス外で海をバックにライブも開催される。過去には曽我部恵一も出演。その時には300人も集まったという。「今をときめくofficial髭男dismも、まだインディーズの頃にここでライブをしました。その後半年してメジャーデビューしたんですよ」 「東京も地方も暮らしの中で音楽やレコードとの関りは変わらないと思います」と語る組嶽店長に、JICO品の印象をお聞きすると「世界中から注目されて素晴らしいと思います。Shure社の44モデルが無くなってどうしようと思ったんですが、しっかりした職人さんが1本づつ手作りされていて安心です」 https://www.youtube.com/watch?v=32f-1KbHImw 【海辺のcafe HOME】店名は「海の家」みたいなのんびりした雰囲気のcafeになればとつけたそうです。〒690-1405 島根県松江市八束町入江88  tel 0852-76-222912:00~18:00 金土日曜日のみ営業(ご来店前に必ずご確認下さい)https://www.facebook.com/%E6%B5%B7%E8%BE%BA%E3%81%AEcafe-HOME%E5%A4%A7%E6%A0%B9%E5%B3%B6-647441791998522/【お店からのお願い】1人で料理など作っていますので、忙しい時間帯やライブの時など対応出来ない事もあります。レコード試聴ご希望の方は前日までに予約をお願い致します。 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓ 日本精機宝石工業(株)東京オフィスメールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。 ...

JICOが聴けるステキなお店#4 BAR GOLEM

東急田園都市線・三軒茶屋駅北口からまっすぐ茶沢通りを進むと、両脇に小さな素敵なお店が軒を連ねる。この街の人気は「どこか懐かしい温かみ」に起因するのだろう。実際この地で独立して13年目の「GOLEM」のマスター宮本氏も「いい意味でのローカル感が魅力」と言い切る。駅から徒歩5分。ビルの2階に隠れ家の様な佇まいで「GOLEM」はある。こんなBarを知っていると、いざという時に連れに自慢できそうだ。 ストーリーの始まりを予感させる木製のドアを押すと、ゼブラウッドの分厚い一枚板のカウンターに6つのスツールが並ぶ。黒を基調としたシンプルな内装と共に目を引くのがカウンターの高さに設置された2台のターンテーブル。DENON DP-6000とYAMAHAのGT-2000が鎮座している。「ここから音が出るんですか?と興味津々に見られる方もいらっしゃいますし、何よりみなさん、レコードが回ってるのを見るのがお好きみたいです」 その時のお客様の雰囲気に合わせてJazzやRockをマスターが選曲するというレコードのコレクションは約2,000枚。30、40代の音楽好き、Bar好きのお客様が中心である。レコードについての自論を伺うと「CDとは明らかに違います。音の深みや柔らかさ、生っぽい音はレコードならではのもの」 プリアンプはmcIntosh mx-110, c26, c33を定期的に入れ替えている。パワーアンプについては、mcIntosh mc240はtannoy autograph (monitor gold)へ、KCA 300bシングルアンプはJBL LE8Tに繋ぎ、日替わりで鳴らしている。「荒い感じでパンチの効いた音が好き」ということから、カートリッジはSHURE V15 typeⅢを採用。気持ちの良い音場を生み出す。 お薦めドリンクは宮本氏が「味を決めるのが難しく一番練習した」というブランデーベースのカクテル「サイドカー」。頼めばお好みのカクテルも作ってくれるとのこと。 https://youtu.be/Mx4GAld5a3U 奥には3人用と4、5人用の半個室もあり、ちょっとした飲み会にも使えそうだ。「もっとオーディオ好きのお客様にも、音楽を聴きに来てほしい。」音楽とお酒と会話と。大人ならではの唯一無二の時間を楽しめる。 最後にJICO製品の印象を伺うと、「SHURE V15 typeⅢの交換針を使用してます。オリジナルが手に入らない今となっては貴重な存在だと思います。音質も好みの違い程度のように思い、大変素晴らしく満足のいく製品です」とのこと。 https://youtu.be/DlqFXHqlQDo BAR「GOLEM」店名はヘブライ語で「生まれる」の意味。形が無いところから何かが出来るというマスター宮本氏の想いが籠められている。〒154-0004 東京都世田谷区太子堂4-30-27 2F  tel 03-5787-882820:00~4:00  月&第1日休http://bar-golem.com/ このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓日本精機宝石工業(株)東京オフィスメールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。 ...

「ずっと続いてる居酒屋さんみたいなレコード屋になればいいなと思っています」アナログレコードを愛する人々 第13回

アナログレコードに携わっている方にインタビューする企画です。第13回は、鳥取にてレコード店 "borzoi record" を営む前垣克明さんにインタビュー! 『本来アーティストが伝えたかった音とモノに触れたかった』 ―なぜアナログレコードの世界に興味を持たれたのでしょうか? そもそも僕の幼少期はまだアナログ全盛時代でした。中学時代には、おニャン子クラブや斉藤由貴とかチェッカーズ等を聴いてました。その後、ビートルズやローリングストーンズを。父がプレーヤーを持っており、(その影響で)オーディオに興味を持ちました。高校の入学祝いとしてONKYOのスピーカーとアンプを買ってもらったのがはじまりです。高校から大学卒業後はほぼCDでした。アナログを意識し始めたのは30代半ばになってからです。色々と(CDで再発されたものを)聞いてきて、やはり本物というか本来ミュージシャンが伝えたかった音とモノに触れたかったんです。 ―では最初に買ったレコードは何ですか? 「六甲おろし」のシングル盤ですね。超阪神ファンなんです。これも父親の影響ですけど。 ―影響を受けた音楽というと何でしょうか? まずはRCサクセションですね。忌野清志郎を知って、こんな人がいるんだと、かなり衝撃を受けました。それから、はっぴいえんど。細野晴臣とか大瀧詠一とかもいて、より深みのある音楽に一気に世界が広がりました。これにまた刺激を受けました。 『そもそも音楽を売るって何だろう?』 ―それにしても、このスピーカーは存在感がありますね。 これは、このお店を始めてから、縁があって求めたものです。70年代のものなんです。ONKYO Scepter10に採用されたホーンドライバー、珍品です。チタン振動板とアルミダイカスト製のショートホーン、音響レンズを組み合わせて高能率と広指向性を実現してます。アナログとの相性も良く、試聴のお客様にも好評です。 ―いつ頃、どうしてここにお店を持たれたんですか? 2009年1月にオープンしました。その頃は今と違って、なんで今頃レコード屋?って周りからは随分反対されました。それまで郊外のチェーンの量販店に勤めていましたが、だんだん自分の居場所が無くなっていく感じで、一年くらい休職して「そもそも音楽を売るあり方って何だろう」と自問自答してました。場所としては友達がこのビルで雑貨屋さんを始めたのが縁です。それまでした事がなかったんですが、街中をブラブラ歩いてみて、さびれたと散々言われたこの街並みに魅力を感じたんです。やるなら郊外でやるより、街の生活の中で立ち寄ってもらえる「音楽を売る店」をやりたくなりました。 『手作り感のある、丁寧に作られた音楽が好きです』 ―ところで店名の「ボルゾイ」はどんな意味ですか。 響きが好きなもので、ロシア犬の犬種からつけました。実は昔のバンド名でもあるんです。 ―バンドをなさってたんですか?どんなジャンルですか? 学生時代にローリングストーズやジェームス・ブラウンのカバーバンドをしていました。担当はギターです。その後、オリジナルをやる様になり、宅録してCDにしたりもしてました。今はたまに一人で弾き語りをしています。時々インプットした音楽をアウトプットしたくなるんです。 ―個人的に普段はどんな音楽を聴かれていますか? コレクターではないんですが、手作り感のあるというか、丁寧に作られた感じがする音楽です。強いて言うなら歌モノが多いですかね。それと時期にもよりますね。例えばこうして冬になって、寒くなってくると、人の温もりを感じる音楽が聴きたくなります。最近ではJ.J.Caleというエリッククラプトンに影響を与えたというアーティストや、カナダのシンガーのBruce Cockburn、ブラジルのCaetano Veloso等をよく聴いてます。新しい旧いではなく、自分の世界観を持っていて、自分のペースで作り続けた人たちの音楽です。 『CDもモノとしてはアナログに感じます』 ―CDやダウンロードは聞きますか? CDは今も聴きますよ。音ではなく存在としてのCDは、もはやアナログだと感じます。今の若い人はCDプレーヤーをまず持ってないですからね。試聴用のストリーミングは聞きますが、買ったことはほぼ無いです。ジャケットなりブックレットを含めて、やっぱりモノとして欲しい方なので、気になったらCDを買いますね。僕は携帯電話の中に何万曲って入っていてもピンと来ないんです。うちは新譜のCDも扱ってるんですが、お客様の中にはストリーミングで聞いて良かったからCDを買いに来たと言う方もいて、そういうのを聞くと嬉しいです。 ―お店では、どのようなレコードが売れてますか? 高額でレアなものというよりは、一般的な名盤、定番とかが多いですね。最近は幅広くジャンルもシティポップからロック、ソウル、ジャズまで売れています。昭和歌謡のEP盤も人気です。最近は鳥取にもアナログレコードをかける飲食店が増えてきました。同じ時間を共有しているという感覚がいいんだと思います。生活の中に音楽は必要で、アナログに興味を持ちだした人が増えているんです。データで保存しても、その日の気分やジャケットの雰囲気とかで曲を選びたいこともありますからね。 ―お客様は鳥取の方が多いですか? 地元の常連さんはもちろんですが県外や外国からの観光客の方も多くなりました。アメリカ、アジア、ヨーロッパ系と様々です。ネットで探してご来店される方がほとんどです。外国の方にもやはり日本のシティポップとかが人気ですね。本当によくご存知ですよ。 『ずっと続いてる居酒屋さんみたいなレコード屋を目指して』 ―「ボルゾイレコード」は今後どうなっていくんでしょうか? この街の時間や空気感がゆったりしているせいか、休日にゆっくりアナログを聞いてみようという、(心と時間に)ゆとりがある方が多いなぁとこの10年で実感しています。そんな方々がたまに寄ってみたいと思って貰える、ずっと続いてる居酒屋さんみたいなレコード屋になればいいなと思っています。この街にとけこみ、何かいい音楽あるかなぁと寄って頂ける店にしたいです。 ―前垣さんにとってアナログレコードとは何でしょうか。 https://youtu.be/6uGOAXqeaNg 【取材後記】 「ボルゾイレコード」は石造りのレトロな雑居ビルの2階にありました。昭和の香りのする素敵な雰囲気で、タイムスリップした様な懐かしく温かい居心地のいい空間でした。そんなつもりで取材に臨んだ訳では無かったのですが、前垣さんのお人柄か、気づくと何枚か買っておりました。音楽を売るとは例えば焼き物を売るのと変わらないんだと再認識もさせて頂きました。「JICOさんと同郷だと思うと勇気づけられます。」取材の開口一番でした。(前垣さん、こちらこそです) 【プロフィール】前垣克明1972年生まれ 兵庫県出身2009年鳥取市にborzoi recordをオープン。日々、良い音楽をモットーにオールジャンルの中古、セレクト新品のアナログレコード、CD、本を販売中。【borzoi record】12:00〜20:00 木曜定休日鳥取市新町201番地上田ビル2Fborzoigaki.exblog.jp ...

JICOが聴けるステキなお店 #3 八王子「SHeLTeR」

新宿からJR中央線中央特快で35分。東京西部の中核都市・八王子。駅に降り立つと都心との温度差を感じるだけでなく、空気の違いが分かる。この日、駅前の夕景は老若男女で賑わっていた。西放射線道路と呼ばれる商店街を進むと、この街の住みやすさが実感できる。ラーメン屋、すし屋、洋食屋、全国規模のチェーン店。目的地までの腹ごしらえには事欠かない。 果たしてその「SHeLTeR」は、コンクリート打ちっぱなしのスタイリッシュなビルの地階に位置していた。オープンして30年。内装は当時とほぼ変わらないとの事。ただ音自体はシステムがすっかり変わり全く別物という。入口の大きな鉄の扉を押すとそこには音の極楽浄土が待っていた。 https://youtu.be/h_p8FbZXVGg システムはミキサーがBozak、スピーカーはJBLのProject Everest DD55000。アンプがAccuphaseでターンテーブルはTechnics SL-1200。開店1時間前には音出しを始め、営業時間中も調整を事欠かない。「そうしないと気持ちいい音はキープ出来ないんです」と気さくに語るのは代表の野嶌氏。カートリッジはShure社のN-44Gがメイン。「色々使ってみたけど、結局オールマイティなこれに落ち着きました」とも。 開店前といえフロアの床が綺麗なのには驚いた。都内から足を運ぶ常連さんは、音のみならず、この清潔な快適さに拠るところも大きいのではなかろうか。伺うと「アルコールやタバコのニコチンで汚れやすいので、こまめに拭いています」なるほど、それなら頷ける。 フロアには座り心地のいい椅子が配されている。SHeLTerは決してダンスミュージック一辺倒ではない。平日は30代から40代の音楽に詳しいお客さんが集い、リスニング中心になる事が多いとのこと。お薦めのドリンクは野嶌氏がお好きなラム。様々な種類が取り揃えてある。JICO製品の印象を伺うと「うちは以前からJICOの製品を使ってます。最近は攻めてるなぁという感じがしてます」 https://youtu.be/jq3Ru5PZX-8 DJ Bar「SHeLTeR」店名はみんなの「保養所」になればという野嶌氏の想いから付けられた。〒192-0071 東京都八王子市八日町1-1NKビルB1F  tel 042-625-3213 17:00~終電頃  日休http://www.at-shelter.com/ このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓ 日本精機宝石工業(株)東京オフィスメールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。 ...

JICOが聴けるステキなお店 #2 神宮前「bonobo」

JR千駄ヶ谷駅を出ると、眼前に東京体育館がそびえ、否が応でもオリンピックへの昂揚感が掻き立てられる。いくつかの通りを渡れば閑静な住宅地に入る。折しも祭礼日であったか、祭姿の一行とすれ違った。東京と江戸が交差するそんな街角にbonoboは圧倒的な存在感でそこにある。隠れ家的なドアを押すと、この場所が特別でかつ多くの音楽通に愛される訳が分かる。 店主の成浩一氏曰く「いい音は人を感情的にするんです。日常のいろんな垣根を越えて、ここで仲良くなって頂きたいです。」低音を効かせた刺激だけの音楽ではなく、音楽で感動を与えたいとの意図でNYの有名クラブ「The Loft」での体験をもとに15年前に開店。 https://youtu.be/G4uGZ-eZht4 システムはスピーカーがアルテック604のユニットを使用した自作。ミキサーも真空管を10本搭載した日本に一台しかないもの。SHURE社のMMカートリッジを採用。「ここはいろんな人がDJとして来るので折れない44-7を使っています。」 3つのフロアからなるbonobo。2Fは和室仕様になっており「お座敷DJ」を楽しめる。不思議な居心地の良さが外国の方にも人気だそう。 おすすめの一杯は何杯でも飲めるという「ウォッカ・クランベリー」 JICO品についての印象を伺うと「N-44-7の入手で困ってる方に、純正との差異を全く感じない、互換性のある品と安心してお薦めできます」 普段ヘッドフォンで音楽を聞いている高校生の女の子に「あれ、ここ、何か音いいわネ。気持ちいいかも。」と言わせるくらいじゃないとダメだと言う成氏。「ガウディハウス」の様に進化し続けるbonoboで、極上の音に揺さぶられていたい。 https://youtu.be/F7ptE-4_CXg ミュージックBar「bonobo」店名は中央アフリカに生息するサルの種族の名前から。ボノボは知能が高く何より平和的なサルで有名。「バナナを1本与えるとチンパンジーは食べちゃいますが、ボノボは半分に割って仲間と分けるんですって。」〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-23-4   ☎ 03-6804-5542火~日 PM9:00~AM5:00 ランチ営業で関西うどんを供している。【http://bonobo.jp】 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。 ご応募はこちらから↓日本精機宝石工業(株)東京オフィスメールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。  ...

JICOが聴けるステキなお店 #1 神田 「Root Down」

神田とはどんな街のイメージをお持ちだろうか?東京をまだよく知らない頃、そこは古書店街であり、神田明神の門前であると勝手に思っていたが、さにあらず。オフィスと予備校があり、サラリーマンにやさしい居酒屋の街でもあった。 JR神田駅東口から徒歩約3分。神田「Root Down」は独特の風格を湛えてそこにあった。マスターの吉川徹氏曰く「折角のご来店、喜んで帰って頂きたいというのが基本にあります。自分がお客さんとして、居心地の良い空間を逆算して考えて作っています。」 https://youtu.be/Wg-EL8eJkxU その日の雰囲気で選曲するというレコードはジャズ、ブルース、ソウル、ラテンが中心。ジャズだけで5,000枚を優に超えるコレクションである。 2008年12月、神田駅に近いビルでオープン。そのビルの建て替えに伴い2018年10月、旧店舗のインテリアほぼそのままに現在地へ移転した。 アメリカのゴスペルシンガーSam Cooke「A Change Is Gonna Come」の1番の歌詞。 40代以上のひとり客が多いとのことだが、「レコードを見たことも聴いたこともない、普段デジタル音源をイヤフォンで聞いているような人に是非うちの音を体験して欲しい」と語る吉川氏。「この店のオープン時に初めて音を出した時、あぁ、こんな音がするんだと涙が出ました。」 おすすめは「神田ハイボール」と「Funky Ginger」 システムはターンテーブルがDENON DP-500M、真空管アンプは音のエジソン社製 MODEL2000MKⅡ。スピーカーも同社製のプロミネント。SHURE社のMMカートリッジを採用。「MMは荒っぽい感じがするビートの効いた音楽に向いていると思います。」 JICOのSASの印象を伺うと「以前、ネットオークションでSHURE V15 TypeⅢの中古の交換針を1万円ちょっとで買ったことがありますが、経年変化なのか、すぐに折れたんです。その頃お客さんからJICOの事を聞きました。うちは最初からSASです。今は4本くらいサブで持っています。私はオリジナルより良い音だと思います。」 https://youtu.be/7SIT91vxHTQ   Cafe & Bar「Root Down」店名は小学校五年生の時に初めて買ったJimmy Smithのレコードから。〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町30番地S-Grace101  tel 03-3252-498218:00~24:00   日・月休【http://www.rootdown.jp】 このコーナーでは JICOのレコード針をお使いのお店をご紹介させて頂いております。自薦他薦を問いませんので、どうぞご応募くださいませ。ご応募はこちらから↓日本精機宝石工業(株)東京オフィスメールアドレス:inquiry@jico.co.jpメールタイトルに「JICOが聴けるステキなお店掲載希望」と記載の上、ご応募ください。   ...